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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Lightの基準

  • 公開日: 2023/9/5

Lightの基準は何を判断するもの?

 Lightの基準は、胸水が滲出性か漏出性かを判断するために用いられるスケールです。

 滲出性胸水は血管透過性が亢進した場合に生じるもので、肺炎、肺がん、胸膜炎などによって引き起こされます。一方、漏出性胸水は静脈圧の上昇と浸透圧の低下によって起こり、心不全、肝硬変、腎不全などが原因として挙げられます。

 胸水の貯留を認めたことをきっかけに、何らかの疾患が発見されることも多く、その原因疾患を探るうえで、滲出性か漏出性かを鑑別することは非常に重要と考えられます。Lightの基準による胸水の鑑別は、感度98%、特異度83%1)と非常に精度が高く、診断の初期段階で胸水の鑑別を行う際に広く用いられています。

Lightの基準はこう使う!

 Lightの基準では、表にある3つの項目から、胸水が滲出性か漏出性かを評価します。3つの項目のうち、1つ以上に該当する場合は滲出性胸水、いずれも満たさないものは漏出性胸水と判断します。

表 Lightの基準

・胸水総タンパク/血清総タンパク>0.5
・胸水LDH/血清LDH>0.6
・胸水LDH>血清LDH正常値上限の2/3
Light RW:Clinical practice.Pleural effusion.N Engl J Med 2002;346(25):1971-7.より引用

Lightの基準の結果を看護に活かす!

 臨床において、胸水貯留を認める患者さんに接する場面も多いのではないでしょうか。胸水の原因は多岐にわたり、鑑別が困難なケースも少なくありません。滲出性胸水と漏出性胸水では、それぞれ治療方針や看護の注意点などが大きく異なるため、Lightの基準による胸水の鑑別や原因疾患を正しく把握して、適切なケアにつなげられるとよいでしょう。

 また、胸水貯留が認められる患者さんは、呼吸状態などが悪化することも多く、バイタルサインや状態に変化がみられる場合は、速やかに医師に報告することが大切です。

引用文献

1)Light RW:Clinical practice. Pleural effusion.N Engl J Med 2002;346(25):1971-7.
2)保科ひづる,他:病態からみた胸水検体の判断基準の比較検討―細胞数と分類,TP比,Lightの基準,pH.医学検査 2022;71(2):238-44.

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