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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Sokalスコア

  • 公開日: 2024/11/5

Sokalスコアは何を判断するもの?

 Sokalスコアは、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia:CML)の予後を予測するためのスケールです。1980年代にSokalによって提案され1)、血液内科や腫瘍内科で広く使用されています。

 CMLは、造血幹細胞の遺伝子異常により、白血球の増加がみられる疾患です。進行度により、慢性期、移行期、急性転化期(急性期)の3段階の病期に分けられます。慢性期は緩徐な進行を辿り、自覚症状はほとんどみられず、健康診断などで白血球数の異常を指摘され、初めて発覚するケースが少なくありません。病期が進むと発熱や倦怠感、食欲不振、体重減少、脾臓の腫大(脾腫)による腹部膨満などの症状が出現します。

 かつては有効な治療法に乏しく、「不治の病」と考えられていたこともありましたが、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬の登場により、CML患者さんの予後は劇的に改善しました2)。ただし、慢性期の段階で適切な治療を行わず、移行期を経て急性転化期に至ると、治療も難しくなり、予後は極めて不良です。

 患者さんや家族の希望に沿った治療の選択、患者さんの状態に合ったケアの提供や支援につなげるためにも、Sokalスコアを用いて予後を評価することは大切です。

Sokalスコアはこう使う!

 Sokalスコアでは、初診時の年齢、脾腫(肋骨弓下cm)、血小板数、末梢血芽球(%)の4因子を用いて計算を行い、算出されたスコアをもとに3つのリスク群(低リスク、中リスク、高リスク)に分類し、予後を予測します(表1、表2)。スコアが高く、リスクが上がるほど予後不良と考えられ、治療やケアの方針を決める際に役立つほか、治療効果を定期的に評価する際の指標としても活用できます。

 一方で、Sokalスコアは、主に数値データに基づいた評価であり、患者さんの症状や生活の質などの要因を反映したものではないため、治療方針を検討する際はSokalスコアだけに頼らず、他の検査結果や患者さんの全体的な健康状態も考慮に入れることが必要です。また、スコアの解釈には専門的な知識が必要で、単独での使用では不十分な場合もあるため、複数の指標を用いて総合的に判断することが求められます。

表1 Sokalスコアの計算式

Exp 0.0116×(年齢-43.4)+0.0345×(脾臓サイズ-7.51)+0.188×[(血小板数÷700)2-0.563]+0.0887×(末梢血芽球割合-2.10)

表2 3つのリスク群
低リスク<0.8
中リスク0.8~1.2
高リスク>1.2
日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.(2024年10月10日閲覧)http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.htmlを参考に作成

引用・参考文献

1)Sokal JE,et al:Prognostic discrimination in“good-risk”chronic granulocytic leukemia.Blood 1984;63(4):789-99.
2)Hannah Bower,et al:Life Expectancy of Patients With Chronic Myeloid Leukemia Approaches the Life Expectancy of the General Population.J Clin Oncol 2016;34(24):2851-7.
●日本血液学会:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.(2024年10月10日閲覧) http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html
●小野孝明:慢性骨髄性白血病における診断と治療のキーポイント.最新の造血器腫瘍疾患診療〜一般内科医に役立つ診断から外来治療の流れ~.日本内科学会雑誌 2022;111(7):1357-63.
●高橋直人:慢性骨髄性白血病と骨髄増殖性腫瘍の診断と治療.日本内科学会雑誌 2019;108(3):547-50.

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