心筋梗塞の血液検査|鑑別に用いる4つの心筋マーカー(CKなど)
- 公開日: 2016/2/2
症状の鑑別に必要な検査値について、よくある質問に答えます。
Q. 4つの心筋マーカーにはどのような特徴の違いがあるの?
A. 上昇する時期の違いによって、診断指標が選択されます。
心筋マーカーには、以下4つがあります。
- CK/CK-MB
- トロポニンT
- 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)
- 心筋ミオシン軽鎖Ⅰ
CKは筋細胞に多く含まれる酵素です。MM(骨格筋型)、BB(脳型)、MB(心筋型)という3つのアイソザム(同一の反応を触媒する分子構造の異なる酵素群)があります。
心筋に多くみられるCK-MBは、代表的な心筋マーカーとして心筋梗塞の診断に広く用いられています。
トロポニンTは、心筋細胞に特徴的に存在する収縮蛋白で、ほかの心筋マーカーよりも特異性が高いため、早期心筋傷害が疑われるケースでは第一選択として用いられることが多くなっています。
H-FABPは、心筋細胞質に存在する小分子蛋白で,心筋が傷害を受けるとすぐさま流出します。
心筋ミオシン軽鎖Ⅰは、心筋の筋線維を構成する蛋白で、心筋壊死により上昇します。
これら4つの心筋マーカーの大きな違いは、心筋梗塞発症後から上昇までの時間が異なることです。
心筋マーカーの上昇と経過
血液生化学的心筋マーカー
(日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会 編集:臨床検査のガイドライン JSLM2012 検査値アプローチ/症候/疾患、p.239、2012. より引用)
超急性期の心筋梗塞にはH-FABPを、発症時期がはっきりしないケースの診断にはトロポニンTを用いるなど、状況に応じて実施する検査項目を変えて、診断の指標にします。
ただし、心筋マーカーの数値は、ほかの病態によっても上昇することがあるので、心電図や心エコーの結果などと合わせて診断することが必要です。
(『ナース専科マガジン』2013年8月号から改変利用)
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