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【連載】輸液製剤がわかる! なぜ、その輸液製剤が使われるのか?

細胞外液と細胞内液とは?役割と輸液の目的

  • 公開日: 2014/7/15
  • 更新日: 2016/12/8

治療の一環として日常的に実施される輸液。でも、なぜその輸液製剤が使われ、いつまで継続するのかなど、把握できていない看護師も意外と多いようです。まずは、輸液の考え方、輸液製剤の基本から解説します。
(2016年12月8日改訂)


体液の役割と輸液の目的とは

人体はおよそ60兆個の細胞から構成されており、その活動に重要な役割を果たしているのが、細胞内液や細胞外液などの体液です。

細胞は、体内を循環する細胞外液から酸素や栄養素を受け取り、エネルギー消費によって代謝・産生された老廃物を体外に排出することで活動しています。

細胞外液は、生命が発生した原始の海のなごりともいえるもので、0.9%食塩水に近い組成をしています(下図)。

体液の分布とその比率
体液の分布とその比率

細胞外液=内部環境と称されるように、その変化は細胞に大きく影響を与えます。つまり、生命を維持するためには、細胞外液の量と質を一定に保つこと(**恒常性の維持**)がとても重要になるのです。

従って、何らかの原因によって内部環境に変化が生じた場合は、速やかにそれを補正して正常な状態に戻していく必要があります。その方法として、血管から直接的に水・電解質、糖質などを投与するのが輸液療法です。

輸液の3つの目的

  • 1. 1日の代謝に必要な水・電解質を補給する「維持輸液
  • 2. 下痢や嘔吐によって減少した水・電解質の不足量を補うために投与する「欠乏輸液
  • 3. 薬剤を投与するための「ライン確保」です
  • ココをおさえる!

    胞外液量の維持は循環の維持に重要。外液量の増加は、浮腫や心不全、肺水腫、血圧の上昇などに、細胞外液量の低下は、循環不全、血圧の低下などに関係する。

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  • 人体は60%の水と40%の固形物でできている

    人間の身体は多くが水分でできていて、体重に占める割合は成人男子で約60%(女性は脂肪の比率が高くやや少なめ)。主に水と電解質で組成されています。そのうち40%は細胞内液として、20%は細胞外液として分布しており、さらに細胞外液の15%が間質液に、5%が血液(血漿)に存在します。

    細胞内液は細胞膜の内側にあり、細胞が機能するための環境を形成しています。一方、細胞膜の外側にある細胞外液は、細胞外に存在する体内の内部環境を形成する場となっています。

    電解質の組成をみると、細胞内液の主要な陽イオンはカリウム(K+)で、陰イオンにはリン酸(PO4)が多いのに対して、細胞外液の主要な陽イオンはナトリウム(Na+)、陰イオンは塩酸(Cl)や重炭酸(HCO3)と、全く異なっています。

    細胞内外のNa+、K+の濃度勾配に注目

    細胞内液と細胞外液は細胞膜によって隔てられていますが、細胞膜は水や尿素に対する透過性が高い半面、電解質に対しては透過しにくい特徴があります。このような細胞膜の透過が制限される物質によって形成される浸透圧を、張度(有効浸透圧)と呼びます。

     水の細胞内外の移動は、細胞内液中の中心的物質K+と細胞外液中の中心的物質Na+の濃度の勾配が張度の差となって引き起こされます。通常、K+とNa+の総和× 2(同数の陰イオンが存在するため2倍となる)で示される浸透圧濃度は細胞内外で同等ですが、例えばNaを摂取すると、細胞外液でのNa濃度が上がって張度が上昇し、水は細胞内液から細胞外液へと引かれて、細胞外液が増加します。こうした勾配は細胞膜に存在するNa-Kポンプ(Na-KATPase)によって形成されます。

     間質液は細胞と細胞の間にある水分で、蛋白質を含まない血清とほぼ同じ成分組成です。これは、血管壁が分子や粒子の大きい蛋白質などを透過させないからです。ちなみに、浮腫はこの間質に水分が貯留した状態をいいます。

    Na-Kポンプ

    ココをおさえる

    ●体液移動は張度の差(主に血清Na濃度)によって起こっている。
    ●同じように体液量が喪失した病態と思える脱水も
    ●細胞外液量の低下は、循環動態に影響を及ぼす病態
    ●細胞内液量の低下は、細胞機能の低下
    を示している。

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    前述したように、人間の体液の量・質は常に一定に保たれています。飲水や食事から取り入れられた水・電解質は、いったん細胞外液に入り、その過不足を体内にある受容体が判断して情報として腎臓に伝達します。その上で、水・電解質が過剰であれば尿や不感蒸泄、汗、便として体外に排泄し、欠乏しているならば貯留することになります。こうした水分の出納が毎日行われることで、体液恒常性は維持されます。

    また、NaやKについても同じように恒常性が維持されています。体内を循環した体液は、腎臓の糸球体で濾過され、水やアミノ酸、Na、Kといった電解質など必要な物質が尿細管から再吸収された後、不必要となった物質が尿として排出されます。

    経口摂取による1日の水・電解質の許容量は意外に幅広く、水が0~30ℓ、Na、K、水素(H)がいずれも0~500mEq、カルシウム(Ca)とリン(P)がともに0~30gと、柔軟性があります。

    このような負荷に対応が可能なのも、腎臓の調節機能が働いているからです。

    体液の調節が可能な経口摂取による1日の許容量

    ココをおさえる

    ●輸液にかかわる腎臓の働きは重要。体液量の維持や電解質濃度・pHの調整で恒常性を保っている。

    浸透圧受容体と容量受容体、2つの調節系が体液量を保つ

    では、体液量(Na量)は、具体的にどのような仕組みで調節されているのでしょうか。それは「浸透圧調節系」と「容量調節系」という2つの受容体によって行われます。いずれも腎臓が関与している調節系です。

    まず、浸透圧変化に迅速に働くのが、Na濃度によって反応する浸透圧調節系です。浸透圧(Na濃度)に変化が生じると、その情報が視床下部に伝わります。浸透圧が上昇していれば抗利尿ホルモン(ADH)の分泌量が増加し、それが腎臓に作用して集合管からの水の再吸収が促進されます。再吸収された水によって体液中のNa濃度が薄められ、浸透圧は一定に保たれて正常化します。逆に浸透圧が低ければ、ADHの分泌は抑制されて、集合管からの再吸収を抑制することで浸透圧を一定化させます。

    これに対して容量調節系は、体液量(Na量)の増減に反応します。水分量によってではなく、細胞外液のNa量を増減させることで調節を図ります。塩分を取りすぎるとむくむのはこのためです。この調節系に深くかかわるのがレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系です。細胞外液の量が増加すると、頸静脈洞にある受容体がそれを感知し、アルドステロンの分泌を抑制、心房性Na利尿ホルモン(ANP)を増加させます。これによって腎臓でのNaの再吸収は抑制され、尿中へと放出されて、細胞外液のNaは減少し、体液量が一定化します。

    浸透圧調節系は速やかに作用しますが、容量調節系の作用には多少時間を要するため、まず浸透圧調節系が働き、次いで容量調節系が働きます。体液量は、こうした2つの調節系によって一定に保たれています。

    ココをおさえる

    ●浸透圧調節系→Na濃度に反応=水分摂取量の増加/減少、集合管からの水の再吸収を促進/抑制することで体液量(Na量)を一定化
    ●容量調節系→Naに反応=尿細管からのNaの再吸収を促進/抑制することで体液量(Na量)を一定化

    (『ナース専科マガジン』2013年10月号から改変引用)

    次回は「輸液製剤」について解説します。

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