低酸素血症の4つの原因と症状
- 公開日: 2014/11/5
低酸素血症の4つ原因と症状について解説します。
*2016年9月30日修正
低酸素血症とは
低酸素血症とは、動脈血中の酸素が不足した状態です。
呼吸不全の病態は主に低酸素血症と高二酸化炭素血症があります。I型呼吸不全は、高二酸化炭素血症を伴わない低酸素血症、II型呼吸不全は高二酸化炭素血症を伴う低酸素血症といえます。
低酸素血症が重症化すると、多くの場合は高二酸化炭素血症を伴います。
急性の低酸素血症では、頻呼吸やチアノーゼなどの症状が見られますが、慢性の低酸素血症では、臨床症状に乏しく、労作時の呼吸困難、チアノーゼ、ばち状指などがみられることがあります。
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発症の原因
発症の原因には大きく分けて、4つあります。
原因1 肺胞低換気
肺胞内で出入りする空気が極端に減少し、体内の酸素量が少なく、二酸化炭素が多くなっている状態で、高二酸化炭素血症を伴います。
痰の貯留による無気肺や気管支喘息などで気管支が狭窄している場合に起こります。
原因2 換気/血流不均衡
換気量の減少した肺胞は、毛細血管を流れている血液を十分に酸素化することができません。
こうした肺胞が多数存在しているために、低酸素の状態を引き起こすことを換気/血流比不均衡といいます。
臨床で最も多く見られる低酸素血症の原因で、喘息発作、肺炎、肺水腫、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症などでみられます。
また、痰の貯留や肺塞栓症でも起こります。
原因3 肺内シャント
シャントとは、血液が本来通るべき血管とは異なる経路を流れる状態のことです。
肺におけるシャントとは、肺胞内のガスと肺胞毛細血管を流れる静脈血が接触せず、ガス交換をしないまま心臓に還流している状態をいいます。
心疾患や肺動静脈奇形などの解剖学的異常、肺胞が換気を全く行うことが出来なくなった場合に起こります。
臨床では、痰の貯留による無気肺でよく見られます。
原因4 拡散障害
肺胞毛細血管膜が厚くなったり、間質に水分が貯留したりすることで、肺胞内の酸素・二酸化炭素が通過できず、ガス交換が出来なくなった状態です。
主に間質性肺炎や肺水腫で見られます。
また、肺気腫など肺胞が大きくなることで血液と酸素・二酸化炭素の接触面積(ガス拡散面積)が減少した場合でも起こります。