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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

不安定狭心症のBraunwald分類(ブラウンワルド分類)

  • 公開日: 2022/3/21

不安定狭心症のBraunwald分類は何を判断するもの?

 不安定狭心症のBraunwald分類は、不安定型狭心症の重症度を判定するために、1989年に提唱されたスケールです。このスケールは、臨床経過と病態の2つの要素から重症度を9つに分類し、さらに治療の状況によって重症度を細分化します。

 詳細に重症度を判定するのに適していますが、スケーリングが煩雑であるため、発症からの時間経過や症状などから、単純に3つの段階にスケーリングするAHA分類を用いるケースが多いのが現状です。

 不安定狭心症は急性心筋梗塞に移行する可能性もある極めて危険な病態であり、的確な診断が求められる疾患の一つです。このスケールでは重症度の判定だけでなく、症状などから不安定狭心症か否かを予測することもできるため、スケーリングが診断の補助的な役割を担うことも少なくありません。

不安定狭心症のBraunwald分類はこう使う!

 不安定狭心症のBraunwald分類では、病態別にクラスⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つ、臨床経過に関してはA・B・Cの3つに分けられ(表)、例えばⅠとAに当てはまる場合は、「クラスIA」といったように分類します。また、治療の状況によって、1~3の3つにさらに細分化されます。

表 不安定狭心症の分類

重症度クラスⅠ新規発症の重症または増悪型狭心症
●最近2カ月以内に発症した狭心症
●1日に3回以上発作が頻発するか、軽労作でも発作が起きる増悪型狭心症。安静狭心症は認められない
クラスⅡ亜急性安静狭心症
●最近1カ月以内に1回以上の安静狭心症があるが、48時間以内に発作が認められない
クラスⅢ急性安静狭心症
●48時間以内に1回以上の安静時発作がある
臨床状況クラスA二次性不安定狭心症
(貧血、発熱、低血圧、頻脈などの心外因子により出現)
クラスB一次性不安定狭心症(クラスAに示すような心外因子のないもの)
クラスC梗塞後不安定狭心症(心筋梗塞発症後2週間以内の不安定狭心症)
治療状況1未治療または最小限の狭心症治療中
2一般的な安定狭心症の治療中(通常量のβ遮断薬、長時間持続硝酸薬、Ca拮抗薬)
3ニトログリセリン静注を含む最大限の抗狭心症薬による治療中
日本循環器学会,他:急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版),2019,p.27(2022年3月8日閲覧)https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_kimura.pdf.より引用

不安定狭心症のBraunwald分類を看護に活かす!

 不安定狭心症のBraunwald分類は、不安定狭心症の重症度を詳細に判定するのに適したスケールです。

 不安定狭心症は急性心筋梗塞に進行する危険が高く、診断が下された場合は急性心筋梗塞に準じた治療や管理を行っていく必要があります。病棟や外来などで不安定狭心症が疑われるエピソードを訴える患者さんの対応にあたった場合には、速やかにスケーリングを行い、迅速な治療や処置ができる体制を整えます。

 特に重症度が高いと考えられる場合は医師に報告し、バイタルサイン測定や心電図モニターの装着などをスムーズに行えるよう準備することが大切です。また、重症度が高い患者さんは急変する可能性もあるため、細やかな状態確認を忘れてはなりません。

参考文献

●石川欽司,他:不安定狭心症の診断をどのように進めるか.心臓 2001;33(5):385-91.

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