アトピー性皮膚炎重症度のめやす(厚生労働科学研究班)
- 公開日: 2023/4/14
アトピー性皮膚炎重症度のめやすは何を判断するもの?
アトピー性皮膚炎重症度のめやす(厚生労働科学研究班)とは、アトピー性皮膚炎の重症度を評価するスケールの一つです。
アトピー性皮膚炎の重症度を評価するためのスケールには、欧州で多く使用されるSCORADなどがありますが、評価方法が煩雑というデメリットがありました。
熟練した評価スキルが必要であった従来のスケールと異なり、アトピー性皮膚炎重症度のめやすは、アトピー性皮膚炎による炎症の程度と分布のみで重症度を簡便に評価できるため、現在、日本国内で広く用いられています。
アトピー性皮膚炎重症度のめやすはこう使う!
アトピー性皮膚炎重症度のめやすは、一般的に、アトピー性皮膚炎の診断を下した次の段階で用いられ、アトピー性皮膚炎による炎症の程度と体表面積の評価のみで重症度をスケーリングします。具体的には、軽症から最重症まで4つの段階に重症度を評価して(表)、治療方針やスキンケアなどの方法を選択する際の目安とします。
表 アトピー性皮膚炎重症度のめやす(厚生労働科学研究班)
軽症 | 面積にかかわらず、軽度の皮疹*のみみられる |
---|---|
中等症 | 強い炎症を伴う皮疹**が体表面積の10%未満にみられる |
重症 | 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%以上、30%未満にみられる |
最重症 | 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上にみられる |
** 強い炎症を伴う皮疹:紅斑、丘疹、びらん、浸潤、苔癬化などを伴う病変
厚生労働科学研究班:アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2001.平成8年度厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー総合研究および平成9-12年度厚生科学研究 分担研究「アトピー性皮膚炎治療ガイドラインの作成」より引用
アトピー性皮膚炎重症度のめやすの結果を看護に活かす!
アトピー性皮膚炎は、「適切な治療により皮疹が安定した状態が維持されれば寛解が期待される疾患」とされています1)。アトピー性皮膚炎重症度のめやすによる評価を正しく把握するとともに、どのような治療が行われているかも確認するようにしましょう。ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎治療において基本となる薬剤ですが、自己判断で中止したり、量を増減したりすることで、症状が悪化する場合もあります。用法・用量を守り、使用期間についても医師の指示に従うよう指導します。
アトピー性皮膚炎によるかゆみなどの症状は、アトピー性皮膚炎重症度のめやすのみでは正確に把握できないこともあります。重症度のみにとらわれず、患者さんの訴えも丁寧に聴取し、症状が強い、あるいは悪化していると考えられるときは、速やかに医師に報告することも大切です。
引用文献
●厚生労働省:平成22年度リウマチ・アレルギー相談員養成研修会テキスト「アトピー性皮膚炎の概要と基本的治療」 第2章 アトピー性皮膚炎 p.24(2023年3月27日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-05.pdfh