【連載】術後疼痛管理のQ&A! 皆さんの疑問にお答えします!
不穏がある開頭術後の患者さん、痛み止めは何がよい?
- 公開日: 2023/5/10
Q 開頭術後の患者さんが痛みで不穏になりました。鎮痛薬は何を使うとよいでしょうか?
A 医師から指示のあるものの中からまずはアセトアミノフェンやNSAIDsの使用を検討しましょう。
創部痛では、脳実質は痛みは感じませんが、脳に達するまでの皮膚・皮下、筋肉、骨膜、硬膜での痛みを感じます。術後鎮痛に向けて、手術室で麻酔覚醒前から各種薬剤が事前に投与されます。局所皮下浸潤麻酔、アセトアミノフェンや麻薬のフェンタニル等を併用したマルチモーダル鎮痛(術後疼痛管理とは)が現在の主流の考え方で、術後麻薬の使用量と副作用を減らしながら良好な鎮痛を得られるよう工夫をしています。
手術直後から強い痛みを訴える場合には、麻薬性鎮痛薬(オピオイド)であるフェンタニル、モルヒネ、ペチジン、非麻薬性オピオイド(鎮痛薬)であるトラマドールやペンタゾシン、ブプレノルフィンなどの強力な鎮痛薬の使用が検討されます。手術室を退室して数時間経っている場合には、まずはアセトアミノフェンやNSAIDsを使用し、それでも強い痛みがある場合オピオイド鎮痛薬の使用を検討します。ただし、麻薬には鎮静・傾眠作用、縮瞳などで術後神経学的評価が難しくなることもありますので注意が必要かもしれません。
頭痛は、創部痛以外にも術後出血、脳血管攣縮、頭蓋内圧亢進や髄膜刺激症状、低髄液圧や筋緊張性によるものでも起こります。随伴症状、神経学的所見、ドレーン類なども注意深く観察しましょう。
痛みは不穏やせん妄を誘因する因子の一つですが、不穏やせん妄の原因が痛みだけとは限りません。痛みを取ることは積極的に行いつつ、それ以外の視覚・聴覚が関連する環境要因や併用薬剤、睡眠リズムや身体拘束などの患者因子の改善・調整なども同時に行っていくことが周術期の看護では大切だと考えています。