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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

サルコイドーシスの重症度分類

  • 公開日: 2023/10/1

サルコイドーシスの重症度分類は何を判断するもの?

 サルコイドーシス重症度分類は、サルコイドーシスの重症度を評価するためのスケールです。

 サルコイドーシスは、全身のあらゆる臓器に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が生じる疾患で、発症メカニズムが解明されておらず、日本では難病の一つに指定されています。症状の現れ方は障害される臓器や重症度によって異なり、臨床経過も自然軽快するものもあれば、治療の有無にかかわらず慢性的な経過をたどるもの、場合によっては増悪や難治化するものまでさまざまです。

 予後は一般に良好で、難治化しても死亡率は極めて低いとされますが、近年は高齢で発症する患者さんが多く、病状が遷延化するケースも増えてきています1)、2)。そのため、サルコイドーシスと診断された患者さんについては、症状や重症度を正しくスケーリングし、それぞれに合った治療の選択や経過観察を行っていくことが必要です。

サルコイドーシスの重症度分類はこう使う!

 サルコイドーシスの重症度分類では、「臓器病変数」「治療の必要性の有無(全身ステロイド治療・全身免疫抑制剤治療)「サルコイドーシスに関連した各種臓器の身体障害の認定の程度」の3つの指標から、サルコイドーシスの重症度を評価します(表)。

 重症度は、合計スコアが1点で「重症度1」、2点で「重症度2」、3~4点で「重症度3」、5~6点で「重症度4」とされ、重症度3と4は医療費助成の対象となります3)。ただし、高額な医療の継続が必要と判断された場合は、重症度3以上でなくても医療費助成の対象となります3)

表 サルコイドーシスの重症度分類

1. 臓器病変数
1または2臓器病変1
3臓器病変以上(ただし、心臓病変があれば、2とする)2
2. 治療の必要性の有無(全身ステロイド薬、全身免疫抑制剤治療)
治療なし0
必要性はあるが治療なし1
治療予定または治療あり2
3.サルコイドーシスに関連した各種臓器の身体障害の認定の程度
身体障害なし0
身体障害3級または4級1
身体障害1級または2級2
合計スコアによる判定
重症度11
重症度22
重症度33または4
重症度45または6
厚生労働省:84 サルコイドーシス.(2023年9月13日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089904.pdf より引用

サルコイドーシスの重症度分類の結果を看護に活かす!

 サルコイドーシスは、症状の現れ方や経過の個人差が大きく、自覚症状も治療の必要もない患者さんがいる一方で、難治化する患者さんもいます。サルコイドーシスの患者さんの看護にあたるときは、症状や重症度を正しく把握したうえで、状態観察やケアを行えるとよいでしょう。

 また、臓器障害により日常生活に支障が生じている場合、現時点で症状が乏しくても将来的に予後が悪化する可能性がある場合では、積極的な治療が必要とされます1)。治療薬として、副腎皮質ステロイド薬、免疫抑制薬、TNF阻害薬、抗菌薬などが用いられますが、副作用に対する不安や恐怖から服薬を拒否したり、抵抗を示したりする患者さんもいます。服薬によるメリット、起こりうる副作用とその対応方法などについて丁寧に説明し、患者さんが納得して治療に臨めるように配慮することが大切です。

引用・参考文献

1)サルコイドーシス診療の手引き 作成委員会:サルコイドーシス診療の手引き 2020.疾患の概要.(2023年9月13日閲覧) https://www.jssog.com/wp/wp-content/themes/jssog/images/system/guidance/1-1.pdf
2)サルコイドーシス診療の手引き 作成委員会:サルコイドーシス診療の手引き 2020.1-1 臨床像・臨床経過.(2023年9月13日閲覧) https://www.jssog.com/wp/wp-content/themes/jssog/images/system/guidance/2-1-1.pdf
3)厚生労働省:84 サルコイドーシス.(2023年9月4日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089904.pdf
●サルコイドーシス診療の手引き 作成委員会:サルコイドーシス診療の手引き 2020.(2023年9月13日閲覧) https://www.jssog.com/journal#journal-guide
● 四十坊典晴,他:わが国におけるサルコイドーシスの診断基準と重症度分類.サルコイドーシス/肉芽腫性疾患 2015;35 (1):3-8.

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