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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

全身性アミロイドーシスの重症度分類

  • 公開日: 2023/10/5

全身性アミロイドーシスの重症度分類は何を判断するもの?

 全身性アミロイドーシスの重症度分類は、全身性アミロイドーシスの重症度を評価するためのスケールです。

 アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるタンパク質が全身の臓器に沈着することでさまざまな機能障害を引き起こす疾患の総称で、複数の臓器にアミロイドの沈着を認める全身性アミロイドーシスと、単一臓器のみにアミロイドの沈着を認める限局性アミロイドーシスに大別されます。

 全身性アミロイドーシスでは、初期に全身衰弱、体重減少、貧血、浮腫といった非特異的症状が出現するほか、多臓器に障害がみられるのが特徴です。経過や予後については、病型や重症度などによって大きく異なり、中には命にかかわるケースや重篤な合併症を引き起こすケースもあります。そのため、全身性アミロイドーシスと診断された患者さんについては、病型の絞り込みとともに、重症度分類を用いて適切な病状の評価を行い、それぞれに適した治療や管理をしていくことが大切です。

全身性アミロイドーシスの重症度分類はこう使う!

 全身性アミロイドーシスの重症度分類では、アミロイド沈着の有無やその可能性、臓器機能障害の有無やその程度から、全身性アミロイドーシスの重症度を1~5度の5段階に評価します(表)。

 アミロイド沈着が確認された部位と、実際に臓器障害を認める部位が必ずしも一致する必要はないとされていますが、アミロイドーシスの原因タンパク質の同定や病型診断を行うことが望ましいとされています1)

 また、日本では全身性アミロイドーシスは難病の一つに指定されており、重症度分類で2度以上の場合は医療費助成の対象となります。2度以上に該当しない患者さんであっても、高額な医療の継続が必要な場合は、医療費助成の対象なることがあります1)

表 全身性アミロイドーシスの重症度分類

1度組織学的にアミロイド沈着が確認される、もしくは、アミロイド沈着を疑わせる検査所見があるが、アミロイド沈着による明らかな臓器機能障害を認めない
2度組織学的にアミロイド沈着が確認される、もしくは、アミロイド沈着を疑わせる検査所見があり、かつアミロイド沈着による軽度の臓器機能障害を単一臓器に認める
3度組織学的にアミロイド沈着が確認される、もしくは、アミロイド沈着を疑わせる検査所見があり、かつアミロイド沈着による複数の臓器機能障害を認める
4度組織学的にアミロイド沈着が確認され、かつアミロイド沈着による中等度以上の臓器機能障害を単一もしくは複数の部位に認める
5度組織学的にアミロイド沈着が確認され、かつアミロイド沈着による重度の臓器機能障害を複数の部位に認める
注1:アミロイド沈着を確認された部位は、臓器障害を認める部位と必ずしも一致する必要はない
注2:アミロイドーシス原因蛋白質の同定および病型診断を行うことが望ましい
注3:臓器障害は、神経、心臓、腎臓、消化管、呼吸器、泌尿器、眼、骨・関節、内分泌など

厚生労働省:28 全身性アミロイドーシス.(2023年9月13日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089928.pdf より引用

全身性アミロイドーシスの重症度分類の結果を看護に活かす!

 全身性アミロイドーシスによる臓器障害は、神経、心臓、腎臓、消化器、目、骨や関節、呼吸器、内分泌など多岐にわたります。症状の現れ方は個人差が大きく、自覚症状がほとんどないケースもあれば、心不全や腎不全など命にかかわる重篤な状態に陥るケースもあります。全身性アミロイドーシスの患者さんの看護にあたるときは、症状や重症度を正しく把握して、看護計画を立てる際や日頃のケアに活かせるとよいでしょう。

 近年では、薬物療法(化学療法)や移植医療の進歩により、進行スピードを遅らせたり、病状の悪化を防いだりすることが可能になりつつありますが、薬剤の副作用や手術などで、患者さんに大きな負担がかかります。看護師には、治療に対する患者さんの不安をできるだけ取り除き、安心して治療に取り組めるように支援していくことが求められます。

参考文献

1)厚生労働省:28 全身性アミロイドーシス.(2023年9月13日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089928.pdf
●厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 アミロイドーシスに関する調査研究班:アミロイドーシス診療ガイドライン2010.(2023年9月13日閲覧) http://amyloidosis-research-committee.jp/wp-content/uploads/2018/02/guideline2010.pdf
●日本循環器学会,編:2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン.(2023年9月13日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf

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