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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Emery-Little分類

  • 公開日: 2024/1/14

Emery-Little分類は何を判断するもの?

 Emery-Little分類とは、白内障における水晶体の核硬度を分類するためのスケールです。

 一般に、白内障は50歳代から発症頻度が増加し、年齢を重ねるごとにリスクも高まる傾向にあります。水晶体を構成するタンパク質が加齢などの要因によって変化することで発症し、進行すると水晶体が硬くなるばかりでなく、無色透明の水晶体が白色や黄白色に濁っていきます。水晶体が硬くなると屈折率が増して近視が進む場合があるほか、水晶体が濁ると透過性が失われて視機能が低下し、目がかすむ、視界がぼやける、光をまぶしく感じる、人や物が二重に見える、暗い場所で物が見えにくくなるなどの症状が出現します。

 軽度の白内障で日常生活に支障がない段階では、点眼薬で進行の抑制を図ります。ただし、点眼により症状が改善することはないため、日常生活に支障を来すほど進行した場合には、硬く濁った水晶体を吸引して取り除き、眼内レンズに差し替える手術を行うのが一般的です。水晶体の変化が大きいほど、手術の難易度も上がると考えられているため、術前にEmery-Little分類で水晶体の状態を評価し、リスクを把握することが必要です。

Emery-Little分類はこう使う!

 Emery-Little分類では、白内障による水晶体の核硬度をGrade1~5の5段階に分類します(表)。白内障の進行に伴い、硬度のみならず色調にも変化がみられるようになり、Grade1では透明~やや白、Grade2では白~やや淡黄、Grade3では黄色、Grade4では茶色がかった黄色、Grade5では茶~黒といった変化がみられるとされています1)

 Emery-Little分類は、手術が必要か否か判断する重要な指標の一つですが、物の見え方には個人差があるため、一概にEmery-Little分類のみで手術適応の有無を判断することはできません。Gradeが低い場合でも、見え方の違和感が強く、日常生活に支障がある場合には、手術が必要と判断される場合もあります。

表 Emery-Little分類

Grade1soft
Grade2semi soft
Grade3medium
Grade4hard
Grade5rock hard
松井英一郎,他:加齢と眼疾患.Dokkyo J Med Sci 2008;35(3):252.より引用

Emery-Little分類の結果を看護に活かす!

 基本的に、Emery-Little分類による評価でGradeが高いほど白内障の重症度も高いと考えられ、見えにくさや日常生活に影響が出ていることが考えられます。白内障の患者さんの看護にあたるときは、Emery-Little分類によるスケーリングから介助の必要性や転倒リスクなどを評価して、ケアに活かせるとよいでしょう。

 ただし、見え方や日常生活への影響の感じ方には個人差があり、Gradeが低いからといって苦痛を感じていないとは限りません。医学的なスケーリングだけでなく、患者さんの訴えも尊重して対応に当たることが大切です。

参考文献

●松井英一郎,他:加齢と眼疾患.Dokkyo J Med Sci 2008;35(3):251-8.
●永本敏之:高齢者の白内障手術の難易度.高齢者の視力障害.日老医誌 2014;51:326-9.
●佐々木洋:人種,生活環境の異なる4地域での白内障疫学研究.日本白内障学会誌 2001;13:13-20.
●柴田崇志: 生体眼における水晶体の色度に関する検討─正常水晶体の色度の加齢変化─.日本眼科紀要 1988;39(4):598-605.
●Huang Z,et al:Analysis of the Effect of Non-phacoemulsification Cataract Operation on Corneal Endothelial Cell Nucleus Division.Eye Sci 2015;30(3):106-9.

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