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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

アジソン病の重症度分類

  • 公開日: 2024/2/1

アジソン病の重症度分類は何を判断するもの?

 アジソン病の重症度分類とは、血液検査結果や臨床症状などから、アジソン病の重症度を評価するために用いられるスケールです。

 副腎皮質から分泌されるホルモン(コルチゾール、アルドステロン、副腎アンドロゲン)が欠乏した状態を副腎皮質機能低下症といい、副腎皮質自体の病変による原発性と、視床下部―下垂体の病変による続発性に大別されます。原発性はさらに先天性と後天性に分けられ、このうち、後天性の原発性副腎皮質低下症のことをアジソン病と呼びます。発症すると、易疲労感、倦怠感、体重減少、筋力低下、低血圧、抑うつといったさまざまな症状が出現し、皮膚の色素沈着など見た目の変化も生じるようになります。

 アジソン病に対する根本的な治療法は確立されておらず、ホルモン補充療法を生涯にわたって継続していく必要があり、日本では難病の一つに指定されています。適切な治療を継続すれば命にかかわることはなく、日常生活を送ることができますが、治療を怠るとショックを引き起こす可能性があります。予後を良好に維持するためには、長期にわたり医療費の負担が続きますが、アジソン病の重症度分類は医療費助成を受けられるか決めるための指標としても活用されています。

アジソン病の重症度分類はこう使う!

 アジソン病の重症度分類では、表にある4つの項目からアジソン病の重症度を評価し、医療費助成の対象になるかどうかを判断します。

 治療開始後に評価する場合には、直近6カ月のなかで最も悪い状態でスケーリングを行い、4つの項目のうち、少なくとも1項目以上に該当する場合は医療費助成の対象となります。重症度分類で1項目以上に該当しない場合でも、高額な負担がかかる医療の継続が必要な場合には、医療費助成の対象となることがあります。

表 アジソン病の重症度分類

1)血中コルチゾールの低下を認める血中コルチゾール基礎値4μg/dL未満
2)負荷試験への反応性低下迅速ACTH負荷(250μg)に対する血中コルチゾールの反応 15μg/dL未満
3)何らかの副腎不全症状がある以下に示すような何らかの副腎不全症状がある 
・特徴的な色素沈着 
・半年間で5%以上の体重減少 
・低血圧 
・脱毛 
・低血糖症状 
・消化器症状(悪心、嘔吐など) 
・精神症状(無気力、嗜眠、不安など) 
・関節痛 
・過去1年間に急性副腎皮質不全症状に伴う入院歴がある
4)ステロイドを定期的に補充している者
厚生労働省:83 アジソン病.(2024年1月11日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089865.pdfより引用

アジソン病の重症度分類の結果を看護に活かす!

 アジソン病は適切な治療を継続して行えば、良好な日常生活を送れる疾患ですが、投薬コントロールがうまくいかなかったり、服薬を忘れるなど治療を怠たったりすると、ショックを起こして命にかかわる状態になることもあります。そのため、なぜ服薬を継続する必要があるのか、服薬を怠るとどのような状態に陥るのかを丁寧に説明し、患者さんが納得して治療に取り組めるよう支援していきます。

 また、副腎不全症状のなかには、色素沈着や体重減少など、外見の変化を伴うものもあります。医師には悩みや困りごとを言えなくても、看護師には伝えやすいというケースは多いため、患者さんの訴えを引き出し、それぞれに適した方法で対処することができるようにサポートしていくことも大切です。

参考文献

●厚生労働省:83 アジソン病.(2024年1月11日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089865.pdf
●河手久弥,他:Ⅴ.副腎皮質.1.副腎皮質機能低下を早期診断・治療するために.内分泌疾患:診断と治療の進歩.日本内科学会雑誌 2014;103(4):878-85.
●日本内分泌学会,他:第1部 副腎不全症概要.日本内分泌学会雑誌2015;91:5-32.

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