黄疸のある患者さんの看護計画|肝臓がん
- 公開日: 2024/1/31
肝臓がんによる黄疸が生じている患者さんに関する看護計画
黄疸とは、血液中で上昇したビリルビンが目や皮膚に沈着し、黄色に染まっている状態です。ビリルビンには間接ビリルビンと直接ビリルビンがあり、間接ビリルビンが肝臓でグルクロン酸抱合を受けると、直接ビリルビンが産生され、身体から排泄されやすい形に変わります。しかし、肝臓がんによって肝臓の機能が障害されることで間接ビリルビンが直接ビリルビンに変換されず、うまく排泄できなくなるとビリルビンが身体に蓄積してしまいます。その結果、黄疸が生じ、掻痒感や倦怠感が出てきます。
今回は、肝臓がんで生じた黄疸によって皮膚トラブルのリスクがある患者さんに対する看護計画を立案しました。
観察計画 O-P 原疾患である肝臓がんの状態を把握する。肝臓がんに付随する症状(黄疸、掻痒感、倦怠感、腹水、浮腫)についてもそれぞれ確認する。その他、睡眠や食事といった日常生活についても見ておく。
援助計画 T-P 肝臓がんの治療が滞りなく行われるようにする。看護では、掻痒感や倦怠感、浮腫があればスキンケアを行うとともに、倦怠感や腹水へのケアも行う。
教育計画 E-P 黄疸は、皮膚や目が黄色になるといった外見への影響があるため、患者さんが不安にならないように説明する。原疾患に関しても必要に応じて解説する。不安なことがあれば、いつでも話してくれるよう伝える。
*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。
■看護計画の書き方はこちら
看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2
看護問題
黄疸によって皮膚トラブルが生じるリスクがある
看護目標
皮膚トラブルが生じずに生活することができる
観察計画 O-P
原疾患の治療状況、予後予測
黄疸の有無、程度
掻痒感の有無、程度
倦怠感の有無、程度
腹水の有無、程度
浮腫の有無、程度
皮膚の状態
食事摂取状況
排泄状況(便秘の有無、程度、尿回数など)
検査データ(Alb、TP、ビリルビン、凝固能など)
画像データ(腹部エコー、X線、CTなど)
援助計画 T-P
皮膚の清潔や保湿を保つ
皮膚に負担が掛からないように病衣や寝具を適切なものに変える
必要に応じて排泄環境を整える
医師の指示に基づく薬剤を使用する
教育計画 E-P
必要に応じて黄疸と肝臓の関連を説明する
がんの予後に応じて必要な情報を説明する
疑問や不安などはいつでも伝えてもらうように説明する
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