Shaffer分類
- 公開日: 2024/5/2
Shaffer分類は何を判断するもの?
Shaffer分類とは、緑内障などの診断の際に行われる隅角検査において、隅角(虹彩と角膜が接する部位)の開大度を評価するためのスケールです。
緑内障は、眼圧が上昇することで視神経が圧迫・障害され、視野障害が起こる疾患です。その原因により、原発緑内障、続発緑内障、小児緑内障に分けられ、さらに隅角が閉塞しているか否かで、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の2つのタイプに分類されます。
隅角には、房水の排出路であるシュレム管と線維柱帯が存在しており、開放隅角緑内障では、隅角は閉塞していないものの、シュレム管と線維柱帯が目詰まりを起こして房水の排出が滞り、眼圧が上昇します。一方、閉塞隅角緑内障では、隅角が閉塞することで房水の排出が困難になり、眼圧が上昇します。閉塞隅角緑内障のなかには、急激に眼圧が上昇する急性緑内障発作があり、治療が遅れると失明に至る危険があるため、注意が必要です。
Shaffer分類は、隅角の状態を評価する際の指標になるだけでなく、急性緑内障発作のリスクを予測する指標としても役立ちます。また、瞳孔括約筋や毛様体筋を弛緩させて、隅角閉塞を引き起こす可能性がある抗コリン薬について、投与が可能か否かを判断するための指標としても広く用いられています。
Shaffer分類はこう使う!
Shaffer分類では、隅角の開大度を5段階にスケーリングします(表)。Grade3以上では、急性緑内障発作を起こすことは基本的にないとされますが、開放隅角緑内障のうち、Grade1~2に該当する患者さんに関しては、抗コリン薬を投与した場合に急性緑内障発作を起こすリスクがあるとされています1)。
これまでは緑内障のタイプにかかわらず、抗コリン薬の投与は禁忌とされていましたが、2019年に見直しが行われ、閉塞隅角緑内障においてのみ、抗コリン薬の投与が禁忌となりました。ただし、上述したように、開放隅角緑内障であっても、抗コリン薬の投与による急性緑内障発作のリスクを完全に否定できないことから、開放隅角緑内障については慎重投与とされています。
表 Shaffer分類
角度 | Grade | 臨床的意義 | |
---|---|---|---|
広隅角 | 20~45 | 3~4 | 隅角閉塞は起こり得ない |
狭隅角軽度 | 20 | 2 | 隅角閉塞は起こる可能性がある |
狭隅角極度 | 10 | 1 | 隅角閉塞がおそらく起こる |
閉塞隅角 | 0 | 0 | 隅角閉塞が生じている |
Shaffer分類の結果を看護に活かす!
緑内障は、適切な治療を継続して行えば、症状の進行を和らげることができます。緑内障患者さんの看護にあたるときは、治療を継続することの重要性を説明して、治療に対する理解を促します。
また、Shaffer分類による隅角の開大度を確認し、急性緑内障発作を起こすリスクがどの程度あるのか把握しておくとよいでしょう。リスクの高い患者さんに対しては、急激な目の痛み、頭痛、充血、視力低下といった急性緑内障発作を疑う症状がみられた際は、速やかに医療機関を受診するよう伝えます。
引用・参考文献
●日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会:緑内障診療ガイドライン(第5版).(2024年4月15日閲覧) https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/glaucoma5th.pdf