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心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形の種類と原因など

  • 公開日: 2016/9/1
  • 更新日: 2023/7/11

*2016年9月1日改訂
*2016年12月19日改訂
*2020年4月24日改訂
*2023年7月11日改訂

心電図の基礎知識

心電図とは

 心臓には、自ら電気信号を発生して心筋に伝達する、刺激伝導系と呼ばれる機能があります。この機能により、収縮・拡張の拍動が規則的なリズムで繰り返し行われ、全身に血液を送り出しています。心電図は、刺激伝導系から発せられる電気信号を体表面に貼付した電極で測定し、波形として記録するものです。

心電図の種類

 モニター心電図、12誘導心電図、運動負荷心電図、ホルター心電図が主に挙げられます。目的や場面により使い分けられます。

種類 目的、特徴
モニター心電図 ・持続的なモニタリングに適している
・不整脈や虚血性心疾患による入院患者さん、急変リスクのある患者さんに用いられる
12誘導心電図 ・1回の検査で12種類の波形が得られる
・健康診断、救急外来での診断、術前検査などで用いられる
運動負荷心電図 ・心臓に負荷がかかった場合の波形を記録できる
・安静時には表れない異常を検出するために用いられる
ホルター心電図 ・1日24時間の波形を記録できる
・発作的に起こる不整脈、狭心症などを検出するために用いられる

心電図の記録紙

 記録紙は1mm四方の小さなマスを1コマとし、5mmごとに太い線が入った方眼紙になっています。通常の紙送りの速度は25mm/秒で、横軸は時間(秒)を、縦軸は電位(mV)を表します。25mmが1秒に相当するため、横軸の1mmは0.04秒に、1分(60秒)は1,500mmとなります。電位については、1mmが0.1mVに相当します。

小さなマス(1mm四方) 大きなマス(5mm四方)
縦軸(電位) 0.1mV 0.5mV
横軸(時間) 0.04秒 0.2秒

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心電図の波形の意味と特徴

 それぞれの波形が何を表しているかを理解することは、心電図を正しく判読することにつながります。

波形 意味・特徴
P波 心房の興奮(収縮)を表す波形。P波の前半は右心房の興奮、後半は左心房の興奮を示し、これらが合わさりP波を形成している
QRS波 心室の興奮を表す波形。最初に現れる下向きの波形をQ波といい、心室の興奮の始まりを示している。続く上向きの波形はR波で、心室が最も収縮している地点。最後に現れる下向きの波形はS波といい、心室の興奮の終わりを示している
T波 心室の興奮が消失し、元に戻る様子を表す波形。山型に現れるのが特徴
U波 T波に続いて現れる小さな波形を指す。正常ではみられないこともある
PQ間隔 P波の開始からQRS波の開始までの時間。心房の興奮が心室に伝わるまでの時間(房室伝導時間)を表す
QT間隔 QRS波の開始からT波の終了までの時間。心室興奮の始まりから興奮が消失するまでの時間を表す
RR間隔 QRS波から次のQRS波までの時間。心室興奮の開始から次の心室興奮までの時間を表す

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心電図の基準値(正常値)・異常値

 波形が表す意味や特徴と併せて数値を理解することで、心臓のどこにどのような異常が生じているのか読み取ることができます。

基準値(正常値) 異常値
心拍数 1500/RR間隔(mm)
60回/分以上、100回/分未満
60回/分未満:徐脈
100回/分以上:頻脈
P波 幅:2.75mm(0.11秒)未満
高さ:2.5mm(0.25mV)未満
幅:2.75mm(0.11秒)以上:左房負荷
高さ:2.5mm(0.25mV)以上:右房負荷
QRS波 1.5mm(0.06秒)以上、2.5mm(0.10秒)未満 2.5mm(0.10秒)以上、3mm(0.12秒)未満:不完全右脚ブロック、右室肥大、左室肥大など
3mm(0.12秒)以上:完全脚ブロック、心室性期外収縮、心室内変行伝導、WPW症候群など
PQ間隔 3mm(0.12秒)以上、5mm(0.20秒)未満 3mm(0.12秒)未満:WPW症候群など
5mm(0.20秒)以上:房室ブロックなど
ST部分 基線上 上昇:心筋梗塞、心筋炎など
下降:心筋虚血、心肥大など
QT間隔 0.36秒以上、0.44秒未満 延長:低カルシウム血症、低カリウム血症、QT 延長症候群など
短縮:高カリウム血症など

心電図からわかること

 拍動リズムの乱れや心筋の異常、心筋壁の厚さ、治療効果などがわかります。リスクの高い疾患の検出に役立ちますが、不整脈や狭心症では、発作が起きている状態でないと波形に異常がみられないこともあるため注意が必要です。

心電図でわかる主な疾患

・不整脈
・虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
・心筋炎・心筋症
・心房・心室肥大

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心電図の異常波形を早期に発見するためのポイントと看護

 異常波形を早期に発見するためのポイントは、正常な波形を読み取れるようになることです。正常な波形ではないことに気づけるかどうかが、異常発見の鍵となるためです。正常な波形を読み取るには、規則的なリズムをもつ洞調律(不整脈がない)か、P波・QRS波・T波の形状に異常がないか、各波形から得られた数値が正常かどうかを確認します。

 また、異常があったときにどのような波形になるのかを知っておくことも大切です。代表的な異常波形にはどのような特徴がみられるのか、主な症状や原因、看護師が気をつけなければならないことなどについて把握しておくようにしましょう。

 例えば、心室細動(ventricular fibrillation:Vf)と心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)は異常波形のなかでも特徴的な波形を示し、緊急度が高くなります。心電図が苦手でも、これらの波形は覚えているという人も多いのではないでしょうか。Vfは心臓のポンプ機能が完全に失われている状態で緊急対応が必要となりますし、VTも同じように緊急対応が不可欠です。

 緊急度の低い不整脈でも気をつけなければならないことがあります。特に発作性心房細動は、血栓塞栓症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

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心電図の主な異常波形の種類と原因

P波の異常

 心房に電気刺激が伝わっていく様子を表すのがP波です。心房に異常があることによって引き起こされる不整脈では、P波に異常が現れます。心房期外収縮(atrial premature contraction:APC)では異所性P波がみられますが、心房粗動(atrial fibrillation:AF)ではP波はみられず、のこぎりの歯のようなF波を認めます。Vfの波形でもP波はみられず、f波が出現するのが特徴です。さらに、発作性上室頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia:PSVT)では、QRS波に重なったり、逆行性P波がみられたりすることがあります。

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QRS波の異常

 心室に電気刺激が伝わっていく様子を表すのがQRS波です。心室で異常が起こっている場合は、QRS波に異常が表れます。心室期外収縮(premature ventricular contraction:PVC)では、早いリズムで表れるQRS波がみられます。さらにそのQRS波の幅が広くなっていて、R波とT波が重なって表れるR on T型の場合、Vfなどの致死性不整脈に移行する可能性があり危険です。VTでもQRS波が異常波形となって表れます。

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PQ間隔の異常

 PQ間隔に異常がある場合、心房から心室への電気刺激の伝導が障害されている可能性が考えられます。PQ間隔に異常がみられる代表的な波形に、房室ブロック(AVブロック)があります。房室ブロックは、I型、ウェンケバッハ型、モビッツII型、高度房室ブロック、完全房室ブロックに分けられ、モビッツII型、高度房室ブロック、完全房室ブロックは緊急対応が必要となります。

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異常Q波

 心室の興奮が始まる様子を表すのがQ波です。Q波の幅が0.04秒(1mm)以上、かつR波の高さの1/4以上の深さの波形を異常Q波といいます。心筋梗塞、心筋症、心筋炎、左室肥大などで出現する場合があるほか、体質により健常者でみられることもあります。

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R波増高不良

 心室が最も収縮している様子を表すのがR波です。胸部中央付近で記録されたR波と、胸部左側で記録されたR波の大きさがほとんど変わらない状態をR波増高不良といいます。心筋梗塞、心筋症、肺気腫などで認められ、痩せ型の人にもよくみられます。

ST-Tの異常

 ST部分(S波の終わりからT波の始まりの部分)が基線より上昇したり、低下したりすることをST-T異常といいます。異型狭心症では一過性のST上昇、労作性狭心症ではST低下がみられ、発作が治まるとSTは回復します。ST-Tの異常は心筋梗塞でも認められます。中でも、ST上昇を伴う心筋梗塞は「ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)」と呼ばれ、緊急度が高く、迅速かつ確実に再灌流を実現させることが重要です。

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冠性T波

 興奮した心臓が元に戻る様子を表すのがT波です。心肥大や心筋梗塞などが起こると、T波が基線より下向きになる陰性T波、つまり、冠性T波を認めます。

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電解質異常と異常波形

 電解質異常が起こると心筋細胞の再分極に影響が及び、波形に変化が生じます。高カルシウム血症では、ST部分の短縮または消失、QT間隔の短縮がみられ、低カルシウム血症では、ST部分の延長やQT間隔の延長を認めます。また、高カリウム血症の場合はテント状T波が出現し、低カリウム血症になるとST低下、平坦なT波、U波の増高がみられます。

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