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【連載】呼吸器3大疾患のケア

【慢性閉塞性肺疾患(COPD)の看護】症状と治療・ケア

  • 公開日: 2014/1/18

 慢性閉塞肺疾患(COPD)は、初期ではほとんど症状がありませんが、気道と肺胞に不可逆的な破壊が生じているため、治癒は難しい疾患です。
このようなCOPDの病態や治療などの基本を押さえながら、患者さんのQOL向上のための継続治療や日常生活での管理・指導について解説します。


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慢性閉塞肺疾患(COPD)とは?

病態

 末梢気道に慢性の炎症が起こると、気流が制限されるために肺胞の弾力性がなくなり、肺胞が膨れます。その結果、肺胞と毛細血管の接触面積が少なくなり、ガス交換が障害されてCOPDになります。炎症の原因は有毒な粒子やガスの吸入で、その85%は喫煙だといわれています。

症状と所見

 初期の頃は喫煙により咳が出たりする程度で、症状がないことがほとんどです。進行すると、労作時の呼吸困難、咳嗽、喀痰の症状が現れます。さらに重症になると軽度の労作で呼吸困難を起こしたり、肺過膨張、チアノーゼ、喘鳴などもみられます。

 また、重症例では、鎖骨上窩の陥凹、胸鎖乳突筋の発達や、呼吸状態が悪化するにしたがって心臓に負担がかかるため、頸静脈の怒張(肺性心)がみられます。

 ほかにも、ビア樽状の胸郭と称される胸郭前後径の増大などがみられることがあります。さらに重症になってくると、胸郭の動きがなくなってきます。

診断

 COPDは軽症のうちは自覚症状に乏しいため、診断、治療を受けないまま重症に至ってしまうケースが少なくありません。そのため、COPDと知らずに、ほかの疾患で入院、酸素投与などでCO2ナルコーシスとなり、そこで初めてCOPDだと診断されるケースもあります。

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 喫煙者もしくは喫煙歴があり、息切れ、咳嗽、喀痰といった症状がある中高年の場合、COPDを疑います。診断には肺機能検査が必須です。1秒率70%未満であった場合、気管支拡張薬(β2刺激薬)を吸入させ、もう一度肺機能検査を行います。再び1秒率70%未満であった場合、COPDと診断されます。

 鑑別診断では、胸部X線検査、CT検査などの画像検査や呼吸機能精密検査で、気管支喘息や肺腫瘍、びまん性汎細気管支炎など、ほかの疾患を除外していきます。特に難しいのは気管支喘息との鑑別です。

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 X線所見は気管支喘息はしばしば正常であるのに対し、COPDでは、過膨脹所見がみられます。過膨脹所見では、正常人に比べ横隔膜が平らになり、横から見ると胸郭が釣り鐘状の形になります。

治療

 COPDは気道と肺胞の不可逆的な破壊が生じているため、治癒しない疾患です。禁煙により進行を遅らせることと薬物療法、酸素療法による症状緩和を行います。

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