1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. リハビリテーション科
  5. リハビリテーション
  6. Barthel Index(バーセルインデックス)

【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Barthel Index(バーセルインデックス)

  • 公開日: 2022/3/5

Barthel Indexは何を判断するもの?

 Barthel Indexとは、「食事」「移乗」「整容」「トイレ動作」「入浴」「歩行」「階段昇降」「着替え」「排便コントロール」「排尿コントロール」という10の基本的な日常生活の能力を点数化して、ADL(日常生活動作)の評価を行うスケールです。

 ADLを評価するスケールは多々ありますが、Barthel Indexは細かな条件に関する項目はなく、単純に点数化することができるため、迅速かつ簡潔に評価を行えるのが特徴とされています。

 Barthel Indexは高齢者や脳卒中の後遺症があるなど、ADLの低下がみられる可能性が高い患者さんの看護や介護の場での方針決定、リハビリテーションの長期的な効果判定などのために広く活用されています。なお、介護報酬のADL維持等加算や個別機能訓練加算などを算定するための評価方法としても用いることが定められています1)、2)

Barthel Indexはこう使う!

 上述したように、Barthel Indexでは10項目の基本的な日常生活の能力を点数化し、その合計点でADLの評価を行います(表)。

 満点が100点であり、最低点は0点となります。一般的には、85点以上でADLが自立していると考え、60点を部分自立、40点を大部分介助、0点を全介助とします。

表 Barthel Index

項目点数判定基準
食事10点自立、手の届くところに食べ物を置けば、トレイあるいはテーブルから1人で摂取可能、必要なら介助器具をつけることができ、適切な時間内で食事が終わる
5点食べ物を切る等、介助が必要
0点全介助
移乗15点自立、車椅子で安全にベッドに近づき、ブレーキをかけ、フットレストを上げてベッドに移り、臥位になる。再び起きて車椅子を適切な位置に置いて、腰を掛ける動作がすべて自立
10点どの段階かで、部分介助あるいは監視が必要
5点座ることはできるが、移動は全介助
0点全介助
整容5点自立(洗面、歯磨き、整髪、ひげそり)
0点全介助
トイレ動作10点自立、衣服の操作、後始末も含む。ポータブル便器を用いているときは、その洗浄までできる
5点部分介助、体を支えたり、トイレットペーパーを用いることに介助
0点全介助
入浴5点自立(浴槽につかる、シャワーを使う)
0点全介助
歩行15点自立、45m以上歩行可能、補装具の使用はかまわないが、車椅子、歩行器は不可
10点介助や監視が必要であれば、45m平地歩行可
5点歩行不能の場合、車椅子をうまく操作し、少なくとも45m以上は移動できる
0点全介助
階段昇降10点自立、手すり、杖などの使用はかまわない
5点介助または監視を要する
0点全介助
着替え10点自立、靴・ファスナー、装具の着脱を含む
5点部分介助を要するが、少なくとも半分以上の部分は自分でできる。適切な時間内にできる
0点全介助
排便コントロール10点失禁なし、浣腸、坐薬の取り扱いも可能
5点時に失禁あり、浣腸、坐薬の取り扱いに介助を要する
0点全介助
排尿コントロール10点失禁なし
5点時に失禁あり、収尿器の取り扱いに介助を要する場合も含む
0点全介助
厚生労働省:令和3年度介護報酬改定に向けて(自立支援・重度化防止の推進).(2022年2月10日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000672514.pdf.p.46より引用

Barthel Indexを看護に活かす!

 Barthel Indexは迅速かつ簡潔にADLを評価することができるため、患者さん対応時の初期評価に用いるのに適しています。外来や病棟、介護の場などで、ADLの低下が見込まれる患者さんの対応にあたった場合は適切に評価を行い、介助が必要な場面や必要度を想定した対応計画を立てるようにしましょう。

 Barthel Indexの評価は初期対応時だけでなく、定期的に見直すことも大切です。評価が下がってる場合はADL低下が進んでいると考えられ、患者さんへの対応計画を見直す必要があります。

 また、リハビリテーションを行っている患者さんに対しては、医師や理学療法士などと連携して、ADL向上に向けた計画を立てていくことも必要です。そして、急激にBarthel Indexが低下している場合は、何らかの疾患が原因となっていることも少なくないため、速やかに医師に報告しましょう。

参考文献

1)厚生労働省:令和3年度介護報酬改定の主な事項について(2022年2月10日閲覧).https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf
2)厚生労働省:令和3年度介護報酬改定に向けて(自立支援・重度化防止の推進).(2022年2月10日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000672514.pdf

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

日本リハビリテーション看護学会 第36回学術大会【参加登録者募集】

日本リハビリテーション看護学会 第36回学術大会|ご参加のお願い NPO法人日本リハビリテーション看護学会は、第 36 回学術大会(大会長:原 三紀子 東邦大学看護学部)を開催いたします。 詳細は日本リハビリテーション看護学会 第36回学術大会のページをご覧くださ

2024/4/17

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
4位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
5位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
6位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
7位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949
10位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636