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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

脳卒中機能障害評価法(SIAS、サイアス)

  • 公開日: 2022/7/13

SIASは何を判断するもの?

 脳卒中機能障害評価法(Stroke Impairment Assessment Set:SIAS)は、脳卒中によって身体機能がどの程度ダメージを受けているかを定量的に評価するスケールです。脳卒中患者さんの予後を予測したり、リハビリテーションによる機能障害の改善などを把握したりするのに役立ちます。

 脳卒中による機能障害を評価するためのスケールは多く存在しますが、運動機能など特定の機能に関するスケーリングに留まるものがほとんどを占めます。そのようななか、SIASは運動機能はもちろん、感覚機能や体感機能、言語機能など、あらゆる機能に関する評価項目が設けられており、脳卒中による機能障害を多面的に評価できるよう構成されているのが特徴です。

SIASはこう使う!

 SIASでは、麻痺側運動機能、筋緊張、感覚機能、関節可動域、疼痛、体幹機能、視空間認知、言語機能、非麻痺側機能の9つの機能障害に分類された合計22項目について評価を行います。項目ごとに0~3点または0~5点でスケーリングを行い(表)、いずれも点数が高いほど機能障害は軽度であると評価します。

 SIASは、脳卒中を発症して間もない患者さんの初期評価にも用いられますが、10分程度と短時間で簡便に行えるため、繰り返しの実施により、機能障害の変化やリハビリテーションの効果などを評価することもできます。特別な道具を必要とせず、ベッドサイドでの実施も可能なため、定期的にSIASを用いた評価を行い、多面的に機能障害の変化を把握することが大切です。

表 SIASの評価項目とスコア

分類項目スコア
① 麻痺側運動機能上肢近位テスト(膝・口テスト)0~5
上肢遠位テスト(手指テスト)0~5
下肢近位テスト(股屈曲テスト)0~5
下肢近位テスト(膝進展テスト)0~5
下肢遠位テスト(足パットテスト)0~5
② 筋緊張上肢腱反射(上腕二頭筋、上腕三頭筋)0~3
下肢腱反射(膝蓋、アキレス腱)0~3
上肢筋緊張0~3
下肢筋緊張0~3
③ 感覚機能上肢触覚0~3
下肢触覚0~3
上肢位置覚0~3
下肢位置覚0~3
④ 関節可動域上肢関節可動域0~3
下肢関節可動域0~3
⑤ 疼痛疼痛0~3
⑥ 体幹機能腹筋力0~3
垂直性テスト0~3
⑦ 視空間認知視空間認知0~3
⑧ 言語機能言語機能0~3
⑨ 非麻痺側機能非麻痺側大腿四頭筋筋力0~3
非麻痺側握力0~3
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室:SIAS脳卒中機能評価法.評価方法(2006年度版:SIAS 2006)(2022年6月22日閲覧)http://sv05.wadax.ne.jp/~ko-rehabili-net/sias/houhou.htmlより転載、一部改変

SIASの結果を看護に活かす!

 SIASを用いて脳卒中による機能障害を多面的に評価することで、予後をはじめ、転倒など起こりうる事故の予測が立てやすくなります。看護計画を立てる際は、SIASによる評価を参考にするのもよいでしょう。

 リハビリテーション中の患者さんに対しては、定期的にスケーリングを行うことでリハビリテーションの効果を確認するとともに、評価に合わせて看護計画を見直していくことも大切です。

 また、SIASによる評価を繰り返し行うなかで、急激なスコアの悪化がみられた場合などは、何らかの異変が生じている可能性があるため、速やかに医師に報告するようにします。

参考文献

●慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室:SIAS 脳卒中機能障害評価法.(2022年6月22日閲覧) https://keio-rehab.jp/efforts/clinical_evaluation_development/sias/
●園田茂,他:脳卒中機能障害評価セットStroke Impairment Assessment Set (SIAS) (1)その概要および臨床応用.リハビリテーション医学1993;30(4):273-8.

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