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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

末梢神経損傷の分類(Seddon分類、Sunderland分類)

  • 公開日: 2024/7/9

末梢神経損傷の分類は何を判断するもの?

 末梢神経損傷の分類(Seddon分類、Sunderland分類)とは、末梢神経損傷の重症度を評価するためのスケールです。

 神経系は中枢神経系と末梢神経系に大別されます。中枢神経系は脳と脊髄により営まれ、末梢神経系から送られてくる情報を整理・分析し、全身に指令を発信する働きをもちます。一方、末梢神経系は体性神経(感覚神経、運動神経)と自律神経(交感神経、副交感神経)に分けられ、感覚器が受け取った情報を中枢神経系に伝えるとともに、中枢神経系から発信された指令を効果器に伝える役割を担っています。

 末梢神経は、神経細胞体から伸びた神経線維(軸索)、軸索を包む髄鞘、神経内膜・神経周膜・神経上膜といった結合組織などからなり、どの部位に損傷が生じているかによって病態や症状の現れ方、重症度が異なります。損傷部位や重症度により、治療法や予後も変わってくるため、Seddon分類とSunderland分類を用いて患者さんの状態を評価したうえで、治療方針の決定や予後予測を行うことが必要です。

末梢神経損傷の分類はこう使う!

 末梢神経損傷の分類(Seddon分類、Sunderland分類)では、損傷部位や病態によって、末梢神経損傷の重症度を評価します。Seddon分類は3段階、Sunderland分類ではさらに細かく5段階に重症度を分類します(表)。

 Seddon分類の一過性伝導障害とSunderland分類のⅠ度は軸索の断裂を伴わず、短期間で自然に回復します。Seddon分類の軸索断裂とSunderland分類のⅡ度については、損傷の程度にもよりますが、自然回復を期待することもできます。ただし、Seddon分類の神経断裂、Sunderland分類でⅢ度以上の場合は、自然回復は困難と考えられています。

表 末梢神経損傷の分類(Seddon分類、Sunderland分類)

Seddon分類Sunderland分類障害部位変性の程度回復見込み
正常Normalなしなし
一過性神経伝導障害(neurapraxia)Ⅰ度髄鞘伝導ブロック完全回復
軸索断裂(axonotmesis)Ⅱ度髄鞘・軸索Waller変性完全回復 
連合運動
神経断裂(neurotmesis)Ⅲ度髄鞘・軸索 
神経内膜
不完全回復 
連合運動
Ⅳ度髄鞘・軸索 
神経内膜 
神経周膜
Ⅴ度髄鞘・軸索 
神経内膜 
神経周膜 
神経上膜
日本神経治療学会ガイドライン作成委員会:標準的神経治療:Bell麻痺.神経治療学 2019;36(5):626.(2024年6月11日閲覧)https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/bellmahi2019.pdfより引用、一部改変

参考文献

●河合秀紀,他:末梢神経再生における細胞移植とリハビリテーション.日本基礎理学療法学雑誌 2018;21(1):9-15.
●金谷文則:末梢神経損傷の治療.末梢神経損傷の病態・治療とリハビリテーション.Jpn J Rehabil Med 2014;51(1):52-60.
●日本神経治療学会ガイドライン作成委員会:標準的神経治療:Bell麻痺.神経治療学 2019;36(5):619-634.(2024年6月12日閲覧)https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/bellmahi2019.pdf
●栢森良二:末梢神経障害の診断と評価.リハビリテーション医学 2001;38(Suppl):S129.

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