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【連載】下肢(あし)をみる!

弾性ストッキングの着脱方法と注意点~深部静脈血栓症を予防しよう~

  • 公開日: 2016/9/7

深部静脈血栓症の予防として、弾性ストッキングを使用した圧迫療法があります。
今回は、弾性ストッキングの着脱方法と注意点を解説します。


【関連記事】
深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症の予防法
深部静脈血栓症(DVT)はどんな疾患?原因・症状は?


弾性ストッキングのサイズ選びと採寸

深部静脈血栓症予防の圧迫圧は、強ければより効果が高いわけではありません。過不足のない適正な圧迫圧を得るためには、正確な採寸とサイズの選定が重要です。なお、サイズ表とサイズ選択の規定は各メーカーで異なるので、製品の添付資料に従います。

下肢の採寸と弾性ストッキングのサイズ選びのポイント

●足首は最も細い部位の周径を、ふくらはぎは最も太い部位の周径を測定する
※太さを複数方向から確認して測定部位を決める
●測定部位が決まったら、メジャーの浮きによる隙間やねじれがなく、ずれ落ちない程度に肌に密着させて、同一箇所を2回以上測定する
●サイズは、測定部位がすべて適用範囲内にあるものを選択する
●2つ以上のサイズに適合する場合は、中央値に近いサイズを選択する
●適合するサイズがない場合には無理に使用せず、包帯圧迫法など他の予防法について検討する

弾性ストッキングの注意点~有害事象とスキンケア~

サイズの不適合、ずれ、しわ、くびれなどの不具合があると、局所的に不適切な圧迫が加わり有害事象を生じることがあります。
観察を怠らないようにしましょう。

重大な有害事象には、皮膚潰瘍や壊死などの皮膚障害および血行障害、腓骨神経麻痺などの神経障害があります。これらの合併症を発症した場合、直ちに使用を中止します。

また、装着部位の発赤、水疱、発疹、かぶれなどの皮膚障害には、適切な対処をしたうえで、改善がみられる、あるいは悪化しないようなら、適正な使用管理による弾性ストッキングの装着を継続します。

圧迫療法による物理的刺激と化学的刺激が24時間加わるため、圧迫療法に耐えられる皮膚環境に整えることも重要です。皮膚障害が原因で圧迫療法を中止せざるを得ない状況にならないよう予防するには、弾性ストッキングの初回実施前に必ず、スキンケア(保清・保湿・保護)を実施します。
その後は、1日1回以上の履き直しを行う際に、皮膚の観察とスキンケアを怠らないことが重要です。

保湿保護剤は、広範囲の保湿が必要であることや生地への付着を考慮し、ローションなどを使用します。観察の際は、弾性ストッキングに起因する皮膚障害の好発部位に注意します。

弾性ストッキングによる足部の皮膚障害 好発部位

弾性ストッキングの着脱方法

弾性ストッキングの着脱方法に規定はなく、着脱しやすくするための工夫や方法が複数紹介されています。無理な着脱は、有害事象や製品の損傷を招きます。また、着脱の際に患者さんが苦痛を感じることなく、自己管理に向けて困難な印象を与えてしまわない配慮と技術も必要です。

装着方法はいくつかありますが、一般的な「裏返し法(heel pocket out method)」を紹介します。

着脱方法の例(ハイソックスによる裏返し法の一例)

準備

※手荒れやささくれ、爪割れなどにより、生地を傷めてしまう可能性がある際には、手袋を使用する。
※患者さんが装着する場合には、弾性ストッキングの破損を防ぐため、アクセサリー類を外すことを指導する。

弾性ストッキングの履き方手順1
弾性ストッキングの履き方手順2

装着の仕方

弾性ストッキングの着脱手順3
弾性ストッキングの着脱手順4
弾性ストッキングの着脱手順5
弾性ストッキングの着脱手順6
弾性ストッキングの着脱手順7

脱がせ方

弾性ストッキングの脱がせ方1
弾性ストッキングの脱がせ方2
弾性ストッキングの脱がせ方3

間違った装着例

弾性ストッキングの不適切な着用は、局所的に不適切な圧迫が加わり、苦痛、症状の悪化(うっ滞)、有害事象(皮膚障害、血行障害、神経障害)などを生じる可能性があります。不具合(ずれ、しわ、くびれ)のないように装着し、装着中に不具合を認めたら、その都度修正し正しく装着し直しましょう。

弾性ストッキングの間違った装着例1
弾性ストッキングの間違った装着例2
弾性ストッキングの間違った装着例3
弾性ストッキングの間違った装着例4

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