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【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

  • 公開日: 2016/12/24

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値

血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3、pH, BEがよくみられる項目です。

主な基準値
PaO2(動脈血酸素分圧) 80〜100Torr
SaO2(動脈血酸素飽和度) 96±2%
PaCO2(動脈血二酸化炭素分圧) 40±5Torr
HCO3(重炭酸イオン) 24mEq/L
pH 7.40±0.05
BE 0±2mEq/L

血液ガスでわかることは、主に以下の4つです。
1 酸素化
2 換気
3 代謝(腎機能)
4 酸塩基平衡

酸素化はPaO2、とSaO2で評価します。換気はPaCO2で、代謝(腎機能)はHCO3、酸塩基平衡はpHで評価していきます。

血液ガスの基礎知識
血液ガスとは? 血液ガス分析で何がわかる?
血液ガスデータが意味すること

まずは血液ガス関連の用語を覚えよう

血液ガス分析を難しいと思う看護師は多いようです。その1つの原因となっているのが、意味がすぐにわからない用語が出てくること。分圧、アシドーシス、アルカローシス、代償など、血液ガス分析をケアに活用する上でこれらの用語について、どういう状態のことをいうのか、どういう意味なのかを知っておくことも大切です。

主な用語   
緩衝作用 細胞機能を守るためにpHの変化を弱めて、元の状態を維持しようとする働き
代償作用 酸塩基平衡異常がおきたときに、CO2の排泄量とH+とHCO3の排泄量を調整しpHのバランスを維持しようとする作用
分圧 その気体が1気圧内に占める量(割合)を示したもの
アシドーシス 体内が酸に傾く病態があること
アシデーミア 血液が酸性の状態であること
アルカローシス 体内がアルカリに傾く病態があること
アルカレミア 血液がアルカリ性の状態であること

血液ガス分析で用いられる用語
酸素分圧とは? 体内に取り込まれる酸素の計算の仕方
血液ガス記号の覚え方のコツ
CaO2(動脈血酸素含有量)の見方と計算式
アシドーシス・アルカローシスとは
緩衝と代償のメカニズム
アシデミアとアルカレミアって何?

血液ガスで酸素化を評価しよう

PaO2が低いとき

酸素化の評価は、PaO2で評価していきます。臨床では、パルスオキシメーターを用いて測定する経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を用いることもあります。

PaO2が低い場合は、低酸素状態が疑われます。ただし、一般の病棟では血液ガスデータを取ることはそう多くはないでしょう。その場合は、SpO2の値で評価していきます。酸素解離曲線で見てもわかるように、SpO2が低下していると、PaO2も低下していると考えられます。

低酸素状態が考えられるときは、以下の手順でアセスメントをしていきます。
1 患者さんの様子を観察する:SpO2が93%以下になると顔色が悪いなど、見た目でも推測できることがあります。患者さんの様子を観察し、さらに呼吸回数、脈拍などのバイタルサインを確認し、顔色や疼痛の有無などを確認します。

2 データの信頼性を確認する:SpO2が低くても患者さんに異常がない場合は、SpO2が正しいかどうかの評価をします。

患者さんが低酸素状態になっている原因には、大きく分けて以下の4つが考えられます。
1 肺胞低換気になっている
2 換気血流皮の不均衡(V/Qミスマッチ)
3 シャントがある
4 ガス交換障害がある

患者さんに起こっている低酸素の原因がどれに当てはまるのかをアセスメントして、それぞれにあったケアを行っていきます。

PaO2が低いとき
【酸素化の評価】PaO2が低い・高いときのアセスメントとケア
酸素化の指標、SpO2・SaO2・PaO2とは?
血液ガスデータから体内での酸素化を評価する
肺炎・気管支喘息・COPDでSpO2が低下する原因
5つのステップで血液ガスを読んでみよう

PaO2が高いとき

PaO2が高くても一般的には問題となりませんが、酸素投与している患者さんのPaO2が高い場合は過剰な酸素を投与していることになります。また、近年では、高濃度の酸素投与により高酸素性肺障害が起こるともいわれています。

患者さんのPaO2が高い場合は、アセスメントをし、酸素投与をしているのであれば、適切な量に調整しましょう。

SpO2が高いとき
【酸素化の評価】PaO2が低い・高いときのアセスメントとケア

血液ガスで換気を評価しよう

呼吸不全などにより、呼吸状態が障害されるとCO2の排泄が阻害され、PaCO2の値が上昇し、高二酸化炭素血症となることがあります。PaCO2が上昇している場合は肺胞低換気、PaCO2が低下している場合は肺胞過換気であるといえます。

換気の評価
第3回 血液ガスデータで呼吸状態を評価する

酸塩基平衡を評価する

pHは身体の恒常性を評価するのに欠かせない指標です。このpHはPaCO2とHCO3によって調節されています。

pHの異常には以下の4つがあります。
●呼吸性アシドーシス
●代謝性アシドーシス
●呼吸性アルカローシス
●代謝性アルカローシス
これらは患者さんの全身状態や血液ガスのデータなどを見ながら、アセスメントしていきます。
例えば、PaCO2だけが突出して高値である場合はわかりやすいですが、代償作用が働いていると、まずそもそもPaCO2とHCO3のどちらが下がったのか、代償作用によって上昇したのはどちらかといったことを見ていくのが難しくなります。

pH異常のケア
呼吸性アシドーシス 換気を改善させる
代謝性アシドーシス 腎臓またはその他の代謝異常があると考えられる。原因究明・診断を行い、原因に合ったケアを行う
呼吸性アルカローシス 過換気を是正する
代謝性アルカローシス 嘔吐や利尿薬にしようなど、原因となっている症状への対応をする

pHの評価
pHとPaCO2とHCO3-との関係
血液ガスデータからpHの異常を評価する

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