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【連載】テーマごとにまとまった記事が読める! まとめ記事

胸腔ドレナージの看護|目的・手順・管理・看護計画など

  • 公開日: 2021/3/22

胸腔穿刺・胸腔ドレナージとは

 胸腔とは、胸壁で囲まれた空間を指します。また、胸壁の内面を覆う壁側胸膜と肺の表面を覆う臓側胸膜に覆われた空間を胸膜腔といいます。


 胸腔穿刺および胸腔ドレナージは、何らかの原因で胸腔の一部である胸膜腔に貯留した空気や液体(血液、滲出液、漏出液、膿性液、乳び液など)を、体外へ排出する際に行われる手技です。


*乳化した脂肪とリンパ液が混ざった乳白色の排液のこと。リンパ管が損傷されると、食事開始後にこのような排液を認めることがある


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胸腔穿刺・胸腔ドレナージの目的

 胸腔穿刺・胸腔ドレナージの主な目的は次のとおりです。


・貯留物を排出することで肺の拡張を促し、呼吸困難感を軽減させます。

・貯留物を採取し、性状の検査や診断を行います。

・薬液を注入し、治療を行います。


 さらに胸腔ドレナージは、術後の経過を判断するための情報を得ることも、目的の1つとして挙げられます。


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胸腔穿刺・胸腔ドレナージの方法

胸腔穿刺の方法

 肋間に静脈留置針を穿刺し、胸腔内の貯留物を採取・排出します。


胸腔ドレナージの方法

 肋間を小切開し、胸腔ドレーンを挿入・留置します。挿入・留置した胸腔ドレーンは排液装置に接続し、胸腔内の貯留物を持続的に排出させます。


胸腔穿刺・胸腔ドレナージの介助

 患者さんが安心して処置を受けられるよう、胸腔穿刺または胸腔ドレナージを実施する目的、具体的な流れや方法を説明します。このとき、抗血小板薬や抗凝固薬の内服の有無も確認します。


 穿刺針や胸腔ドレーン(トロッカーアスピレーションキットなどでも可)をはじめとした必要物品を準備し、穿刺・挿入がしやすい体位となるよう調整します。処置中は、疼痛の有無、出血や臓器損傷などに伴う状態変化がみられないか注意することが大切です。


 胸腔ドレナージの場合、挿入部の固定が不十分だとエアリークや皮下気腫の原因になるため、挿入部はテープでしっかりと固定します。


胸腔穿刺・胸腔ドレナージの手順

【胸腔穿刺の手順】

医師看護師
●侵襲を伴う検査・治療であるため、患者さん家族に詳細に説明し、同意を得る
●処置の同意書(名前、日付、合併症の記載など)を確認する

★看護のポイント、注意点
*抗血小板薬、抗凝固薬の内服の有無を確認する
●経胸壁エコー、胸部X線検査、胸部CTで気胸、胸水を確認する
●必要物品を準備する

【必要物品】
・滅菌手袋、滅菌ガウン、マスク、キャップ
・消毒液、綿球、鑷子
・滅菌ドレープ、滅菌ガーゼ
・局所麻酔薬
・麻酔用針(22~23G)、シリンジ
・穿刺用針(16〜18G)、シリンジ
・三方活栓、吸引用シリンジ
・検体スピッツ
・排液用チューブ、排液入れ
●穿刺部を選定する
*排液の場合:第4〜6肋間の中腋窩線上または第8〜9肋間の後腋窩線上を穿刺部位とされることが多い
*緊急脱気の場合:第2〜3肋間の鎖骨中線上を穿刺部位とされることが多い
●穿刺部位に応じて、患者さんを仰臥位または側臥位にする

★看護のポイント、注意点
*肋間が開き挿入しやすくなるように上肢を挙上したり、サイドテーブルやタオルの位置調整を行う
●穿刺体位を整え、消毒をする

●消毒薬を準備する
(ヨードアレルギーがある場合は、クロルヘキシジンを準備)

★看護のポイント、注意点
*綿球を使って消毒を行う場合、綿球が不潔にならないように注意する
●キャップ、マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋を装着する
●医師が滅菌ガウン、滅菌手袋を装着する介助をする
●キャップ、マスク、手袋を装着する

★看護のポイント、注意点
*滅菌ガウンや滅菌手袋の開封、装着介助をする際は不潔にならないように注意する
*術者が手技を実施しやすいように、清潔野の位置を調整する
●穿刺部位に局所麻酔をする
*肋骨上縁に沿って穿刺し、胸腔に達して空気が引けることを確認してから、2〜3cm針を戻して胸膜に麻酔をかける
●麻酔用針やシリンジを準備し、術者が局所麻酔薬を使用できるようにする

★看護のポイント、注意点
*麻酔用針やシリンジ、局所麻酔薬を準備する際は、介助者の腕や身体が清潔野に触れないように注意する
●穿刺を行う
●穿刺用針やシリンジ、検体スピッツを準備する

★看護のポイント、注意点
*疼痛の有無や程度を確認し、局所麻酔薬が適切に効果を発揮しているか判断する
●検体の採取、排液を行う
●呼吸パターン、心拍数、呼吸回数、SpO2、疼痛の有無をモニタリングする

★看護のポイント、注意点
*出血、臓器損傷などに伴う状態変化に注意する
*排液を行う場合は、再膨張性肺水腫の観察のために、一度に大量の排液がないか、急激な脱気の有無を確認する
●抜針、圧迫固定をする
●ガーゼで穿刺部位を圧迫固定する
●胸部X線検査の介助をし、衣服を整える

★看護のポイント、注意点
*胸部X線検査で気胸の有無、胸水の残量の程度を確認する

【胸腔ドレナージの手順】

医師看護師
●侵襲を伴う検査・治療であるため、患者さん家族に詳細に説明し、同意を得る
●処置の同意書(名前、日付、合併症の記載など)を確認する

★看護のポイント、注意点
*抗血小板薬、抗凝固薬の内服の有無を確認する
●経胸壁エコー、胸部X線検査、胸部CTで気胸、胸水を確認する
●必要物品を準備する

【必要物品】
・滅菌手袋、滅菌ガウン、マスク、キャップ
・消毒液、綿球、鑷子
・滅菌ドレープ、固定用テープ
・滅菌ガーゼ、ワイガーゼ
・局所麻酔薬
・麻酔用針(22~23G)、シリンジ
・皮膚切開用メス
・曲がりペアン
・縫合セット
・胸腔ドレーン、ドレーンバック
・無鉤鉗子(数本) 
●挿入部を選定する
*気胸の場合:第5〜6肋間の前腋窩線から中腋窩線の間をドレーン挿入部位とされることが多い
*胸水の場合:第7〜8肋間の中腋窩線から後腋窩線上をドレーン挿入部位とされることが多い
●患者さんを仰臥位または側臥位にする

★看護のポイント、注意点
*仰臥位の場合:挿入部側の腕を頭側に上げて、脇が開くようにする
*側臥位の場合:肋間が開き挿入しやすくなるように腕を頭側に上げる、挿入部の反対側にタオルを置くなどする
●消毒をする
●消毒薬を準備する
(ヨードアレルギーがある場合は、クロルヘキシジンを準備)

★看護のポイント、注意点
*綿球を使って消毒を行う場合、綿球が不潔にならないように注意する
●キャップ、マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋を装着する
●医師が滅菌ガウン、滅菌手袋を装着する介助をする
●キャップ、マスク、手袋を装着する

★看護のポイント、注意点
*滅菌ガウンや滅菌手袋の開封、装着介助をする際は不潔にならないように注意する
*術者が手技を実施しやすいように、清潔野の位置を調整する
●挿入部位に局所麻酔をする
*肋骨上縁に沿って穿刺し、胸腔に達して空気が引けることを確認してから、2〜3cm針を戻して胸膜に麻酔をかける
●麻酔用針やシリンジを準備し、術者が局所麻酔薬を使用できるようにする

★看護のポイント、注意点
*麻酔用針やシリンジ、局所麻酔薬を準備する際は、介助者の腕や身体が清潔野に触れないように注意する
●挿入部位の皮膚を切開後、切開部をペアンを用いて鈍的剥離し、胸腔までのトンネルをつくる
●胸腔ドレーン、ドレーンバックを準備する

★看護のポイント、注意点
*皮膚切開や鈍的剥離の際に、疼痛の有無や程度を確認し、局所麻酔薬が適切に効果を発揮しているか判断する
●胸腔ドレーンを挿入する
●呼吸パターン、心拍数、呼吸回数、SpO2、疼痛の有無をモニタリングする

★看護のポイント、注意点
*出血、臓器損傷などに伴う状態変化に注意する
●ドレーンバックを接続する
●呼吸性移動、エアリークの有無、排液の量や性状などを確認する

★看護のポイント、注意点
*一度に大量の排液が予測される場合は、医師に報告する
●ドレーンを糸で固定し、挿入部のドレッシングを行う
●テープで固定を強化する
●胸部X線検査の介助をし、衣服を整える

★看護のポイント、注意点
*挿入部の固定が不十分な場合、エアリークや皮下気腫の原因となるため注意する
*ドレーンの挿入位置のズレを確認できるように、マーキングをする

胸腔穿刺・胸腔ドレナージの管理(観察項目・注意点)

【胸腔穿刺・胸腔ドレナージ】バイタルサイン、呼吸状態の確認

 血圧、心拍数、体温、SpO2(酸素飽和度)に異常はないか、呼吸回数、呼吸音、呼吸の深さ、左右差の有無、胸郭の動き、呼吸困難感の有無などから、呼吸状態が安定しているか確認します。


【胸腔ドレナージ】排液の観察

 排液量、性状、色を確認します。順調に経過すると排液量は徐々に減少し、性状はさらさらになっていきます。色は、例えば肺切除後の患者さんでは、淡血性→淡々血性→淡黄色→淡々黄色と変化します(図)。肺切除後の患者さんで血性排液が持続する場合は、術後出血の可能性が疑われます。再開胸止血術を要することもあるため、すみやかに医師へ報告します。


排液の変化

【胸腔ドレナージ】穿刺部の観察

 ドレーン挿入部からの滲出や出血、感染徴候(発赤、腫脹、熱感、疼痛)、皮下気腫、ドレーンと排液装置の接続部、ドレーンを固定するフィルムドレッシング材やテープがはがれていないか、ドレーンが抜けかかっていないかを確認します。


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ドレーン抜去が起こらないようにするには


水封(ウォーターシール)の役割、見方

 胸腔内は常に陰圧が保たれています。そのため、単に胸腔ドレーンを挿入しただけでは、空気が胸腔内に流入し、換気が妨げられます。そこで、水封室(ウォーターシール部)に滅菌蒸留水を入れ、水封(ウォーターシール)することで胸腔内と外界を遮断し、空気が胸腔内に流入するのを防いでいます。


 水封室では、呼吸性移動とエアリークが確認できます。


 呼吸性移動は、水封室の液面の動きをみて確認します。自発呼吸の患者さんの場合、吸気時に水封室の液面は上昇し、呼気時に低下します。呼吸性移動が突然消失した場合は、ドレーンが閉塞している可能性が考えられます。


 エアリークは、水封室に気泡が生じることで確認できます。胸腔内に貯留した空気が漏れ出ていることが考えられますが、ドレーンの接続部が外れていたり、ドレーンの接続部・挿入部から空気の出入りがある場合もエアリークは起こります。原因を調べる際は、患者さんの状態とあわせて、接続に問題ないかどうか確認することも大切です。


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胸腔ドレーンのクランプ

 原則として、指示がない限り、ドレーンのクランプは行わないようにします。クランプよって水封室の陰圧が解除されるほか、ドレーンの閉塞につながるおそれがあるためです。また、エアリークがみられる患者さんでクランプをすると、緊急性気胸を起こす可能性があり危険です。


 ただし、次のようなときは、クランプが必要となります。


・排液ボトルを交換するとき

・排液ボトルの位置が、患者さんより高くなるとき

・気胸の患者さんで、ドレーン抜去前に気胸の再発がないか確認するとき


 クランプの必要が生じた際は、リスクを理解したうえで、十分注意して行います。


胸腔穿刺・胸腔ドレナージの合併症とケア

【胸腔穿刺・胸腔ドレナージ】再膨張性肺水腫

 長期間虚脱していた肺が急速なドレナージで一気に再膨張し、肺血流の再灌流や肺血管透過性亢進などが生じることで起こるとされる肺水腫で、呼吸困難、咳嗽、SpO2の低下を認めます。胸部X線検査や人工呼吸管理を行うこともあるため、状況に応じた対応が必要になります。


【胸腔穿刺・胸腔ドレナージ】臓器損傷、血管損傷

 穿刺による臓器・血管損傷で合併症が生じることがあります。胸腔穿刺・胸腔ドレナージでは肺損傷による気胸や血胸が起こりえるほか、出血が続けばショック状態に陥る可能性も考えられます。バイタルサインや排液の性状をチェックし、異常の有無を確認します。


【胸腔穿刺・胸腔ドレナージ】迷走神経反射

 迷走神経反射は、極度の緊張・不安・恐怖、強い疼痛などの刺激が脳神経の一つである迷走神経を介して血管運動中枢に伝わり、徐脈あるいは血管拡張による血圧低下を来たす生理的反応です。症状が出現した場合は、硫酸アトロピンが投与されることがあるため、必要時にすぐ使えるよう準備しておきます。


【胸腔ドレナージ】逆行性感染

 胸腔ドレナージでは、ドレーン挿入部や排液ボトルの排液口などに細菌が付着・混入するリスクがあります。逆行性感染を防ぐために、挿入部は清潔を保持し、徹底した無菌操作で感染を予防します。挿入部に感染徴候(発赤、腫脹、熱感、疼痛)がみられないか観察することも大切です。


【胸腔ドレナージ】皮下気腫

 軽度の皮下気腫であれば経過観察で様子をみることもありますが、急速に増大した場合は、ドレーンの入れ直しや追加挿入が検討されます。皮下気腫を認めた際は該当箇所をマーキングし、経時的変化を確認します。


胸腔ドレーン抜去の基準

 胸腔ドレーンの長期留置は逆行性感染のリスクが高くなるため、できるだけ早期に抜去することが重要です。


 胸水の場合、一般的に、エアリークがなく、排液量が24 時間以内に200mL未満になると、ドレーンの抜去が検討されます1)。気胸の場合は、エアリークの消失や呼吸性移動の減少がドレーン抜去の目安となります。これらに加え、胸部X線検査で肺の虚脱がみられなければ抜去となります。


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胸腔ドレナージの看護計画

 「肺がんによる胸水貯留で胸腔ドレナージを行う患者さん」を例に看護計画を紹介します。


看護問題

#1 胸水貯留に伴うガス交換障害

#2 肺がんの治療に関連した安楽障害


看護目標

・効果的なガス交換が可能になる

・肺がんの治療に伴う苦痛を最小限に抑える


観察計画(OP)

・バイタルサイン

・呼吸困難感、胸痛の有無・程度

・咳嗽、喀痰の有無・性状・程度

・呼吸音の性状、聴取部位、左右差の有無

・チアノーゼ、冷感の有無

・胸腔ドレーンの排液の性状・量

・創部の発赤、腫脹、疼痛の有無・程度

・皮下気腫の有無・程度・範囲

・睡眠状況、食事や飲水摂取状況

・肺がんの治療(化学療法、放射線療法など)の副作用の有無・程度

・検査データ(採血、動脈血ガスなど)

・画像データ(XP、CTなど)


ケア計画・援助計画(CP)

・適宜、痰喀出を促す

・安楽な姿勢、体位の調整

・医師の指示に基づく鎮静薬の使用

・ネブライザーや加湿の必要性を検討する

・酸素消費量を抑えるかかわり

・医師の指示に基づく酸素療法の実施

・医師の指示に基づく吸引圧の設定・保持

・固定の確認を行い、自己抜去を防ぐ

・創部やルート内を確認し汚染や感染に留意する


教育計画(EP)

・胸腔ドレーンの必要性を説明する

・合併症の症状とその予防について説明する

・酸素療法の必要性を説明する

・創痛を我慢せず伝えてもらうように説明する


引用・参考文献

1)Y Satoh:Management of chest drainage tubes after lung surgery.Gen Thorac Cardiovasc Surg 2016;64(6):305-8.

●太田祥一,他:手技:胸腔穿刺およびドレナージ.日内会誌 2013;102(5):1243-7.

●群隆之:呼吸器手術におけるドレーンの適正使用.日外感染症会誌 2018;15(2):181-7.

●深田真宏,他:Hypovolemic shockを伴う再膨張性肺水腫を発症した気胸の1例.日臨外会誌 2014;75(1):68-72.

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