看護記録とは|基礎情報、看護問題リスト、看護計画、経過記録、看護サマリー
- 公開日: 2021/10/27
看護記録とは
日本看護協会の看護記録に関する指針では「看護記録とは、あらゆる場で看護実践を行うすべての看護職の看護実践の一連の過程を記録したものである」と定義されており1)、記載する内容は実施する看護の目的や必要性、どんなケアを実施したのかといったことになります。看護記録を記載することは看護師の業務の1つであり、患者さんごとに記載します。保存期間は法令により定められており、最低2年間とされています。
看護記録は、患者さんの基礎情報、看護問題リスト、看護計画、経過記録、看護サマリーからなっています。必ず事実を記載し、誰がいつ、どんなケアを行ったのかといった責任の所在がわかるように書くことも大切です。
医療訴訟となった際には、証拠の1つとなるものであることも心に留めておきましょう。
標準診療計画としてクリニカルパスを使用している施設もあります。クリニカルパスは疾患ごとに検査や治療など標準的な経過をまとめた治療計画書です。医師、看護師だけでなく薬剤師や理学療法士、管理栄養士といった職種がどのタイミングでどうかかわるのかが記載されています。クリニカルパスには、看護記録として標準計画と経過記録が含まれます1)。
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看護記録の基礎情報とは
患者さんやその家族から得た情報を記載します。基礎情報とは、患者さんの個人情報やプライバシーにかかわる情報です。その取り扱いには注意が必要です。
【基礎情報の書き方を詳しく読む】
●看護記録書き方のポイント1|基礎情報の書き方の基本
看護問題リストと看護計画
患者さんが抱える問題を抽出して優先順位をつけ、リスト化します。看護問題は看護診断ともいい、NANDA-Iの看護診断やカルペニートの看護診断などといった予め分類されているリストから患者さんに合ったものを選択していきます。どの看護診断を使用するかは施設によって違います。自身の働いている施設で使用している看護診断の分類にはどのようなものがあるのかも知っておきましょう。これを知らないと患者さんの抱えている問題がどれに当てはまるのかを選ぶことができません。
優先順位をつけてリスト化したあとは、看護問題ごとに患者目標、観察計画(O-P)、援助計画(T-P)、教育計画(E-P)を書き出していきます。これが看護計画となります。
【看護計画の書き方について詳しく読む】
●看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2
経過記録とは
看護計画に基づいた看護を実施したあとに結果を記載していきます。経過記録は基本的にPOS(問題志向型システム)に基づいて書いていきます。経過記録の記録方法にはSOAP、フォーカスチャーティング、経時記録の3つがあります。
【経過記録について詳しく読む】
●経過記録の書き方のポイント(SOAP、フォーカスチャーティング、経時記録)|看護記録書き方のポイント3
SOAP
主観的データ(S)、客観的データ(O)、アセスメント(A)、計画(P)に分けて記録する方法です。患者さんが抱えている問題とそれに対するケアが明確になるというメリットがあります。
フォーカスチャーティング
患者さんの状態や反応、患者さんに起こったことフォーカスとして挙げ、フォーカスごとに患者さんの主観的・客観的情報(Data)、行ったケア(Action)、ケアを行った結果(Response)を記載する方法です。ケアと患者さんの反応が明確になるため、ケアの流れがわかりやすいというメリットがあります。
経時記録
患者さんの状態や行った治療・ケアを経時的に記載する方法。時系列で記載されているためどんな流れで患者さんの状態が変化したのかといったことがわかりやすい反面、記録が長くなるといったデメリットもあります。
【経過記録の書き方について詳しく読む】
●SOAP、フォーカスチャーティング、経時記録の書き方のポイント|看護記録書き方のポイント4
●SOAPがかけるかどうかは看護計画実施前に決まっている?
看護サマリーとは
入院中の患者さんの状態やどのようなケアを実施したかを記載します。書式は施設ごとにことなります。退院して在宅サービスを受ける、リハビリのために転院する際に提供します。
【看護サマリーについて詳しく読む】
●看護サマリーの書き方|看護記録書き方のポイント5
引用・参考文献
1)日本看護協会:看護記録に関する指針(2021年10月26日閲覧)https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf