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人工呼吸器のアラームの原因と対応

  • 公開日: 2017/8/28

人工呼吸器のアラームには、機械自体異常を知らせるもの、患者さんの状態と設定したモードが合っていないことを知らせるものなど、さまざまな種類があります。また、人工呼吸器の機種によっても呼び名が違っていることもあり、混乱する人も多いのではないでしょうか。
ここでは、アラームの一般的な名称と主な原因・対応について解説します。


人工呼吸器のアラームが鳴ったら、まずは、患者さんのベッドサイドへ行きます。患者さんの安全を確保したうえで、アラームが鳴った原因はなにかを確認し、対応します。

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低圧アラーム(気道内圧下限(低下)アラーム)

気道内圧が設定した値に達していない場合に鳴るアラーム。

主な原因

呼吸器回路側の問題(亀裂や破損、接続部からのリーク)

呼吸回路やウォータートラップなど接続部に緩みはないか、しっかりと装着できているか、加温加湿器やネブライザーなどの付属品が外れていないかを確認します。さらに、チューブの亀裂や破損はないかもチェックします。
気管チューブのカフ圧低下によるリークなども考えられます。

患者さんの吸気努力が増大した

患者さんの自己吸気が、人工呼吸器の設定よりも大きくなっている場合に鳴ります。

対応

原因 対処方法
回路が外れている 回路の外れを発見したら、速やかに再接続する。気管チューブや気管切開カニューレが抜けたり、抜けかかっている場合は医師による再挿管が必要
気管チューブやカフが壊れている 気管チューブを交換する
患者さんの吸気努力の増大 気道内圧下限アラームは、一般的に患者さんの最高気道内圧の70〜80%に設定します。患者さんの状態を確認し、設定が合っているかを確認する

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人工呼吸器の気道内圧下限アラームの原因と対応

低換気アラーム(分時換気量低下アラーム)

1分間の換気量がアラームの設定値に満たない場合に鳴るアラーム。

主な原因

呼吸器回路側の問題

呼吸回路の外れやリーク、折れ曲がりなどによる閉塞、カフ圧の低下などが考えられます。

患者さんの自発呼吸量の低下

無呼吸や呼吸回数の減少などが原因と考えられます。

対応

原因 対処方法
回路・カフなどにリークがある どの部分からリークが発生しているのかを確認。カフから漏れている場合は、カフ圧計を用いて圧を調整する
患者さんの自発呼吸量の低下 病態の悪化などが考えられるため、フィジカルアセスメントを行い、医師に連絡する。痰が貯留している場合は、吸引を行う

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無呼吸アラーム

なんらかの原因で自発呼吸が少なくなったり、消失した場合に鳴るアラーム。

主な原因

患者さん側の問題

呼吸状態の悪化や鎮静薬などにより自発呼吸が停止した、または非常に弱くなった場合が考えられます。

設定の問題

トリガーの感度やアラーム設定が適切でないことが考えられます。

対応

原因 対処方法
患者さんの状態を確認 フィジカルアセスメントを行い、患者さんの呼吸状態を確認する。鎮静薬の投与量なども確認し、医師に報告
回路の確認 回路の外れや閉塞などがないかを確認
トリガーの設定、アラームの設定 患者さんに自発呼吸があり、回路にも異常が見られない場合は、トリガーの感度やアラームの設定が適切かどうかを確認

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高圧アラーム(気道内圧上限アラーム)

気道内圧が設定した範囲を超えた場合に鳴るアラーム。

主な原因

患者さん側の問題

痰の貯留、人工呼吸器と同期していない、肺のコンプライアンスの低下などが考えられます。

回路側の問題

回路の閉塞、折れ曲がりなどが考えられます。

対応

原因 対処方法
痰が詰まっている 吸引し、痰を除去する
人工呼吸器と同期していない ファイティングやバッキングなどがある場合は、人工呼吸器と患者さんが同期していないと考えられるため、設定の変更を検討する
肺のコンプライアンス低下 病態悪化などで、患者さんの肺のコンプライアンスが低下すると気道内圧が上昇することがあるため、設定を見直す
回路の閉塞、折れ曲がり 回路の状態を確認して、閉塞や折れ曲がりがある場合には、適切な状態に戻す

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呼吸回数上限アラーム(換気回数上限アラーム)

呼吸回数が設定値を超えている状態を知らせるアラーム。

主な原因

患者さん側の問題

呼吸状態の悪化や、不安、疼痛、発熱、興奮などが原因で一次的に呼吸数が増加することがあります。

人工呼吸器側の問題

モードがSIMVやCPAPになっているとき、PS圧の設定が低いと頻呼吸になることがあります。また、回路内に結露が溜まっていると、水の振動を自発呼吸だと判断して、必要のない換気を行ってしまうことがあります。

対応

原因 対処方法
呼吸状態の悪化 患者さんの状態をアセスメントし、医師に報告。設定の変更を検討する
不安、疼痛、発熱、興奮などがみられる 不安、疼痛、発熱、興奮に対して、鎮痛薬の投与などの対応を行う
PS圧の設定が適切でない 患者さんの状態をアセスメントし、医師に連絡
回路内に結露が貯留 回路を確認し、回路内に結露の貯留が見られたら水分を除去。ウォータトラップの位置が適切かを検討する

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電源アラーム

電源供給に異常がある場合に鳴るアラーム。

主な原因

電源プラグがコンセントに接続されていない、抜けている、電源が入っていない、停電している、などが考えられます。

対応

用手換気に切り替え、電源プラグを確認します。電源を接続し直しても解決しない場合は、人工呼吸器の交換を検討します。

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ガス供給アラーム

人工呼吸器に供給される酸素や圧縮空気が低下していることを知らせるアラーム。

主な原因

接続部が外れていたり、緩んでいたりする場合、部品や機器が破損している場合などに起こります。

対応

用手換気に切り替え、必要であれば酸素ボンベなどによる酸素供給を行います。接続部がゆるんでいないか、部品や機器に破損はないかを調べます。

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酸素濃度アラーム

吸気の酸素濃度が設定された範囲を外れている場合に鳴るアラーム。

主な原因

酸素濃度センサの異常や中央配管等のトラブルが原因と考えられます。

対応

回路や設定に問題がないかを確認します。酸素濃度センサの異常であれば、交換します。機器のトラブルの場合は、人工呼吸器を交換します。

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温度センサアラーム

加温加湿器の温度異常を知らせるアラーム。

主な原因

ガスを温めるヒーターが正しく挿入されていない、またはヒーターの不良などが考えられます。室温などで冷えてしまっているなども原因の場合があります。

対応

患者さんの口元にエアコンや扇風機があたっていると、ガスが冷えてしまうことがあります。ホースヒーターがしっかりと接続されているか、温度プローブの接続不良がないかを確認します。

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水位異常アラーム

加温加湿器内意の水量が不足しているときに鳴るアラーム。

主な原因

加温加湿器のチャンバ内の滅菌精製水が少なくなっていることが考えられます。

対応

加温加湿器と回路をすべて交換します。

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