サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下の原因と対応
- 公開日: 2017/7/18
*2019年3月11日改訂
*2017年7月18日改訂
*2021年8月9日改訂
発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。
その測定値であるサチュレーションは、日々接している測定値の1 つですが、本当にルーチンに見ていていいのか?
そんなサチュレーションに関する疑問を解消する記事を集めました。
サチュレーション(SpO2)とは
サチュレーション(SpO2)とは、体内のヘモグロビンと結合した酸素量の割合のことで、パルスキシメーターを使い、皮膚を通して光の吸収度で測定します。正式名称は、経皮的動脈血酸素飽和度といいます。一方、直接動脈血から測定したものをSaO2といい、SpO2とほぼ同じ値となります。
【サチュレーション(SpO2)の基本をおさえてこう!】
パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度(SpO2)とは
SpO2 100%であれば、安心なのか?
サチュレーションの基準値
健常人では96~99%が基準値といわれていますが、高齢になるごとに低下する傾向にあります。また、慢性閉塞性肺疾患など、疾患により基準とする値が変わることがあるので、患者さんの年齢の幅や病態に合わせてアセスメントすることが必要です。
【基準値についてもっと詳しく読む!】
第5回 SaO2(SpO2)とPaO2の関係と正常値を知ろう
第6回 血液ガスデータから体内での酸素化を評価する
サチュレーションの測り方
実際の測り方
基本的には、パルスオキシメーターの赤い光が上から爪に当たるように、機械で指を挟みます。
測定時の注意点
・安静にしているか(運動直後では誤差が生じるため)
・体動はないか
・冷感はないか
・マニキュアをしていないか
・動脈の血流を検知しているか
・指の位置は適正か
正確に測定するため、これらに注意して計測します。
【うまく測定できないときの対応法について知っておこう!】
パルスオキシメータ|正確に測定する方法とうまく測定できないときの対応
SpO2が測定できないときのアセスメント[うまくいかなかったcase]
使用する器械について
プローブ(指に挟む部分)と本体が分かれているもの、プローブと本体が一緒になっているものの2種類があります。画面の表示は機械によって違いますが、SpO2値と脈拍数が表示されるのはどの機械も同様です。パルスオキシメーターは、一定時間に得られた値の平均値を表示しているので、数値が安定しない場合は、20~30秒後の値を読みます。指での測定が困難な場合は、耳朶、前額部で測定することもあり、耳で測定する場合は、専用のプローブもあります。測定部位によってSpO2の値の変化も異なります。
【パルスオキシメーターについて知っておこう!】
第3回 呼吸管理中に必要な生体情報モニタ パルスオキシメータ
【測定部位ごとの違い】
①測定部位でどう違う?|もっと知りたい! パルスオキシメータ
②耳朶測定の活用|もっと知りたい! パルスオキシメータ
サチュレーションの低下
低下する原因
正確に測定できてない場合を除き、サチュレーションが低下している場合は低酸素状態にあると考えられます。
肺炎、気管支喘息、肺水腫、COPDなどなんらかの原因で体内に十分な酸素を取り込めなくなったために起こります。
【疾患ごとに低下する原因について知っておこう!】
肺炎・気管支喘息・COPDでSpO2が低下する原因
ちょっとくらいSpO2は下がっても仕方ない?ー高齢者の肺炎・誤嚥性肺炎ー
低下した際の患者さんの状態
呼吸回数、脈拍数、血圧などのバイタルサイン、顔色などの一般状態を観察します。低酸素状態にあれば、なんらかの異常がみられます。
【低下時のアセスメントはこうする!】
第6回 SpO2低下時の症状とアセスメント
どう対応するのか
低酸素に至った原因によって、対応の仕方が変わります。
低換気の場合は、まず気道を確保し、バックバルブマスクを使い用手的人工呼吸で、換気をします。さらに挿管が必要かどうかは状態を見ながら医師が判断することになります。
肺野の中で明らかに異常な音が聴こえ、なおかつ分泌物の問題であると考えられる場合(分泌物が気管支に詰まっている、肺胞に分泌物が溜まっているなど)には、その部分が上になる体位(体位ドレナージ)を30分ほど行い、その姿勢で咳をしてもらうなどのケアで分泌物の除去ができる可能性があります。
大きな無気肺や太めの気管支の痰詰まりが起こると、該当部分はほとんど呼吸音が聴こえなくなります。
無気肺が疑われる場合にも体位ドレナージは効果があります。該当する部分の気管支の中枢側が重力に対して下側になるような体位を取らせ、咳を促します。
また、もともと酸素を投与していた患者さんがマスクやカヌラをはずしてしまい、一時的に酸素化が低下してしまうことがあります。その際は、再び装着し速めの呼吸をしてもらいます。
サチュレーションの低下に対し何らかのケアを行ったときは、ケアの評価も忘れずに行います。
【サチュレーション(SpO2)低下時の対応と注意点】
内視鏡治療でSpO2が低い場合の注意点
体位ドレナージとは?方法・実施時間・コツ
【サチュレーション(SpO2低下時の対応を事例で学ぶ!】
夜だけSpO2が下がってしまう患者さんの酸素のウィーニング[うまくいかなかった!]
労作時のサチュレーションの低下は危険信号[うまくいかなかったcase]
サチュレーションが低下し続けてしまった場合
サチュレーションが低下し続け改善がみられない場合は、急変時と同様の対応が必要となります。
看護師には、処置にかかわる者、記録にかかわる者、指揮をとる者、家族への対応を行う者など役割がいくつもあります。またどのタイミングでサチュレーションが取れなくなったか、変化の徴候を記録し続けることも大切です。アセスメントする者と記録する者との認識を合わせていきます。
【対応方法を知っておこう!】
急変対応時の人員確保と役割分担
第33回 SpO2の低下を繰り返す患者さん
この記事を読んでいる人におすすめ
SpO2低下時の症状とアセスメント
▼サチュレーション(SpO2)について、まとめて読むならコチラ サチュレーション(SpO2)とは?基準値・意味は?低下の原因と対応 アセスメントの流れをチャートでマスターしよう SpO2の低下に気づいたら、まず患者さんの様子を観察します(図)。意識レベルが
肺炎・気管支喘息・COPDでSpO2が低下する原因
▼サチュレーション(SpO2)についてまとめて読むなら サチュレーション(SpO2)とは?基準値・意味は?低下の原因と対応 ▼血液ガスについてまとめて読むなら 血液ガス分析とは?基準値や読み方について 肺炎のSpO2低下のメカニズム 肺炎でSpO2が低
SpO2 100%であれば、安心なのか?
▼サチュレーション(SpO2)について、まとめて読むならコチラ サチュレーション(SpO2)とは?基準値・意味は?低下の原因と対応 何でも100点を取ったほうがよいと教えられたのは、筆者の小学生の頃。100という数字に対する目に見えない喜びと安心
【酸素化の評価】PaO2が低い・高いときのアセスメントとケア
患者さんの酸素化を評価する際には、PaO2とSaO2の数値を用いてアセスメントしていきます。何がポイントになるのかをつかんでおきましょう。 【酸素療法まとめ記事】 * 酸素療法とは?種類・目的・適応・看護 【血液ガスまとめ記事】 * 血液ガス分析とは?
アシドーシス・アルカローシスとは|症状、原因、phの評価
▼血液ガスについてまとめて読むならコチラ 血液ガス分析とは?基準値や読み方について アシドーシス・アルカローシスの基礎知識 pHの値は、PaCO2とHCO3-とのバランスによって上下し、下記4つに分類されます。 ● 呼吸性アシドーシ